The Nameless City

2020年1月28日火曜日

KATO パワーパック デジタル化

KATOのパワーパックのコントロール部はとても使いやすい。
全体としても丈夫で粗く扱っても壊れる感じが全然しない。
ACアダプターは別売りになってしまったけど3500円前後で買えるのでお得感ある。

DesktopStationさんで中の基板を変える事でDCCコマンドステーション化するキットが作られました。
さっそくキットを購入したので、電子工作は下手だけど作ってみた。
正直私のような電子工作に慣れていない人間でもWikiを見ながら簡単に作れた。
上級者向けとの事だけど、超簡単お手軽なうえに、原価割れ価格で放出中なので
激安コマンドステーションが完成。

DesktopStationで購入
D99 HACX 2000円

ヨドバシで購入
KATO 22-018 スタンダードSX (ACアダプター別売) 3520円
KATO 22-082 Nゲージ N用ACアダプター 1760円

秋月電子で購入
0.96インチ 128x64ドット有機ELディスプレイ 580円
FT-232RQ USBシリアル変換モジュール 980円

送料別で8840円。
私はSXもアダプターも持っていてUSBシリアル変換モジュールも頂いてしまったので2580円ほど。

あとは手を動かすだけ。
制作中写真を撮ったので自分用メモとしてブログに残す。

ハンダごては鉄道模型をはじめた5年前から使っているHAKKO FX-600 温度調整が出来る。
Yaasanさんが前に使っていたモデルで確か知り合う前にブログを見て購入した。

HAKKO 633 こて台とHAKKO 599B ワイヤータイプのこて先クリーナー。

キット中身、上の緑のユーロコネクタは追加で購入したもの。
基板には難しいパーツがすでに実装されているので簡単。

Wikiの写真を見るだけで取り付ける極性はわかるけど、ちゃんと確認して取り付け。
まずはコンデンサーから付けたけど最初に電流センサーICからやるべきだった。

背面で折ってハンダ付けして余った足は切断。

グラついたりしないか確認。

タクトスイッチをバシバシ取り付ける、刺さる方向は決まってるので極性も間違えない。

取り付けたら1か所だけハンダ付けして表を見てまっすぐになるように調整。

調整したら全部ハンダ付け。

L字ヘッダーはテープで固定してから。

裏へ回ってハンダ付け。

ピンフレームはそのまま刺して裏からハンダ付けした。

すっかり電流センサーICの事を忘れているけど進んでいく。
次はスタンダードSXを解体。

基板からハンダを溶かして外そうと思ったけどかなり硬いので切ってしまった。

切ったらワイヤーストリッパーで剥くけど長さが足りないものは後で付け足した。

HACXへ移植した所。

電流センサーICがない事にようやく気付いてハンダ付け、これもテープに止めてやると楽。


ICのように小さいと隣同士ハンダがくっついていないか導通確認をテスターでする。
ハンダ同士くっついていなくても基板やIC側で導通している事があるので判断が難しい。
図面を見ると分かるかもしれないけどこれが見てもなかなかスッと頭に入ってこない。
日々精進。

写真は電流センサーIC付ける前だけど、L字ヘッダーにUSBシリアル変換モジュールを付けて
ファームウェアの書き込み。ボードはArduino Unoで書き込み。

動作確認、DSwatchを使ってちゃんとDCCの信号がレールから出ているか確認。 

スタンダードSXに穴をあけて基板を載せて完成。

OLEDの表示内容も見やすくてスピードメーターがコントロールツマミと連動するのが気持ち良い。

DCCコマンドステーションとしてはボタンが少ないのでアドレス入力などが面倒だけど
さっと取り出してさっと試運転みたいな時に重宝する。
CVの読み書きが出来るのでローラーテストスタンド専用でも良いかもしれない。
あと自分の場合はECoSのSnifferポートへつないでコントロールしようと思ってる。

Wikiに書いてある注意事項だけ要注意。
使用しているモータドライバIC TB67H450FGが突入電流に弱いため、
環境によっては頻繁に保護機能による出力停止の可能性があります。
これはレイアウトのレールの状況によっては頻繁に止まる可能性があると言う事。
改造例があるので改造しても良いけど、私のように特殊な使い方に向いているかも。

こんなお手軽にコンパクトでコントロールのしやすい簡易DCCコマンドステーションが出来るなんて
DesktopStation Yaasanさんには驚かされるばかり。
ちなみに量産予定はないとのこと。



2020年1月27日月曜日

模型映像制作概論-4 映像撮影

2020年1月21日火曜日「模型映像制作概論-3 レンズとフレームレート」の続きです。

「こうしましょう!」「あ~しましょう!」と言うのが苦手で、恥ずかしくなってしまう。
大昔に会社や学校でデッサンやAdobeのソフトの使い方の講師をやった事があって母校の大学にも
非常勤講師として誘われた事があるのですが大学の方は運良く30歳以上じゃないとダメだったので
断るまでもなかったので助かった経緯があります。
とにかく講師は自分には向いてない、暗い部屋でコツコツと1人で作業するのが好み。

とは言え「模型映像制作概論」を書こうと決めたからにはちょっと先生っぽくなって書いて行こうと思います。
まだまだ終わりません、説明下手なので今回も大きく脱線しながら解説していきます。
今回も長いので時間のある時読んでみてください。

デッサン

いきなりですがデッサンと言うと何だと思いますか?
クロッキーのような速写?下書き?図面?
実際総称なのでいろいろですがデッサンの本質は物の捉え方です。
イラストなどでデッサンが狂ってるなんて言葉聞きますが、何が狂ってるんでしょうか?

ここで美大受験予備校の凄腕デッサンタイムラプスを見てましょう。
御茶の水美術学院の2019年の芸大合格者による実演だそうです、ほんとすごい!
「OCHABI_「ヘルメス 石膏デッサン_タイムラプス」美術学院2019」

縦に撮りたくなる気持ちわかる、わかるがダメだ!下からあおりで胸像も入れれば16:9に収まる。
フル尺バージョンもあります。ヘルメス胸像は画像検索して写真を見て比較してみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=W39xe6-r64o

フル尺が6時間と言う事からも芸大(東京芸術大学)の試験の時間を想定してるのがわかります。
私も芸大を何度か受けてますが入れなかったのでこれがいかに凄いか身に染みてわかります。
6時間で石膏像をここまで捉えられるのは訓練と磨かれたセンスです、どちらが欠けてもダメです。
ちなみに私の時代で芸大行く人は3浪~5浪当たり前でした。
(私は2浪してますが50倍の難関を超え運よく五美大の1つを卒業してます)

このデッサンを踏まえて「絵が上手い」とはどういう事か説明できますか?
写実的が一番わかりやすいかと思いますし皆さんもそう思っているんじゃないでしょうか。
ではピカソのキュビスムは下手な絵なのか?と言うとそうじゃないですよね。
ピカソは写実的な絵も得意ですがキュビスムは物の捉え方をひとつじゃないと分かりやすく
再構成したものです。

いや、わかんないよ!と言うのが多くの人の本音だと思います。
しかしデッサンをやると少しずつ理解できるようになります。
何故なら人が「見る」と言う行為は神経の塊である眼球から脳へ伝わり、そこで記憶や触覚の経験などを
経て再構成されて初めて「見た」となるわけです。そこからようやく描くという行為が発生します。
哲学的、形而上学的な話になってきますが、それが絵などアートの基本だと思います。
デッサンは「見る」と同時に「見た」を構成する作業と言えます。

しかし「眼球から脳へ伝わり、そこで記憶や触覚の経験などを経て再構成」と書いた通り
これだけ抽象的になりえる漠然とした経路を通ってアウトプットされたものが10人描いて
10人同じものになるわけがない。

だから私は描き方、撮り方はこうあるべきなんて言いたくないんです。
とは言え基礎は大切です。
デッサンをやっていない、デッサンを知らないのにデッサンを語るようなものです。
味噌の入っていない味噌汁みたいな書き方になってますが、これは撮影や編集でも同じ。

ここからは分かりやすく写実的な絵を描く前提で話を進めていきます。
例えばデッサンや絵でいきなりディテールから入る方がいます。
ダメな例として貼り付けて申し訳ないのですが、この方は分かりやすいダメな例です。
「Sketching a plaster cast with just HB pencil」

この方はそもそも写真を見ているので石膏像を見ながら描くデッサンより捉え方が楽なはずです。
なぜなら1度写真と言うアウトプットで絵作りがされているからです。
この雰囲気絵は独特で面白いですがキュビスムでもなく捉え方がおかしいのがわかります。
全体的にべたっとしていて輪郭にとらわれすぎて立体感も遠近感もない絵になっています。
現実には輪郭の線なんて存在しないのになぜ線を描いてしまったのか?
立体物は回り込んだ所の影や光で輪郭が見えてきますが線なんて実際はないんです。

もう1つ凄いデッサンタイムラプス見つけた、少し全体をとらえてすぐにディテール行ける
訓練もセンスも凄すぎるデッサン。この方は別格だと思いますので真似しちゃいけません。
このYoutuber面白いから登録しちゃおう。おちゃこん、どばこんは爆笑した(笑)
美術予備校で何を学ぶか良く分かります、美大って描き方を学ぶ場だと思う人もいらっしゃると
思いますが違いますよ、美大は描ける人が行く所ですよ。
私大デザイン科は色彩構成と言うデッサンとはまた別の技能が必要ですが素晴らしい動画アップされてます。
2019年になっても私の頃と変わらない出題内容でした。興味のある方はこちらもどうぞ。

この書き方で最終的に誰もが素晴らしいと思えるものに出来る方は本当の天才です。
実はそういう天才はたくさんいます。
その天才のように自分も描きたい!と思って同じ描き方を真似てもたいてい無駄です。
何でもそうだと思いますが形から入るのは悪い事ではありません、しかしなぜそうする必要がある?
なぜその道具が必要?と言う疑問を持ち基礎を学ぶ事は重要です。

デッサンの基礎で言うと次のデッサン教室の動画がめちゃくちゃ分かりやすいです。
「顔を描くとき間違え易いポイント5選【実技編】デッサン教室初心者へ」
構図=フレームにおさめて、影や光の捉え方を順序立てて実演と解説もしてくれる素晴らしい先生です。
自分も今から再度学ぼうと言う気になってきました。
デスケル(デッサンスケール)を使用しない構図の決め方は真似しない方が良いかもしれませんが!

でも絵描きたいって思って勉強始めた人は「うわーめんどくさい!」って思うかもしれませんね。
しかしこれが出来る人と出来ない人の差が絵が上手い人と下手な人の差です。
写実的かイラスト的かどうかは別の話です、上手い風に描ける下手な人はどこかでバレてるので
ちょっと恥ずかしいかもしれません。

さてここまで書いて今更ですが、なぜデッサンから書こうかと思ったかと言うと
深津貴之さんの次のツイートを昨日見たからです。
元の音声も15分くらいなので、時間のある時に聞いてみてください。
デッサンが「捉え方」「考え方」の基本になると言う凄く良い説明になってます。

これらは美大受験経験者からすれば当たり前の事だと思いますが多くの人は知らない事だと思います。
もし興味を持ったらデッサン教室や美術予備校の体験に行くと楽しいですよ。
そして様々なものに応用できるのが分かると思います。

iPhone11 Pro

やっと撮影関係か!自分で書いててもうんざりする。
でも今まで書いてきた事がなぜ必要か徐々に分かって頂けると思います!

いきなりですが今月Appleが公開した素晴らしいショートフィルムから。


撮影監督ローレンス・シャーがiPhone11 Proだけで撮影。
3つのレンズを活かした素晴らしいショットの数々。
前回書いた通りボケを活かした撮影は出来ませんが演出とストーリーテリングでそんな事は意識させません。

iPhone11 Proならだれでもこんな撮影が出来る!そう思わせる素晴らしいプロモーションですが
しかしそこが肝です、次はメイキングを見て見ましょう。


どうでしょうか?
撮影してるローレンス・シャー監督は確かに最小限のリグとマイクとiPhone11 Proで
撮影しているのがわかります。
しかし周りを良く見て見ましょう、ものすごい数の照明と撮影機材や特効の数々。
演出がカメラだけでは出来ない事が良く分かるメイキングだと思います。
これは誰でも出来るものではありません。

前回書いた画作りの1つであるボケを活かす事が出来ないディスアドバンテージがありますが
そこはアイデアと編集、ストーリーテリングで埋めていけます。
しかし基礎が出来てる人がiPhone11 Proで撮影するからすごいのであって初心者には難しいでしょう。

やはり良い画を撮りたい場合はそれなりに予算を組んで基礎が学べる機材を揃えた方が良いでしょう。
撮影の基礎が学べるカメラは色々ありますが出来るだけマニュアル操作が出来るものです。
フルマニュアル操作が出来る一眼カメラでさらに動画撮影向きなものが良いですがだいたい高価です。
とは言えiPhone11 Proも安くはありません、ミドルクラスのミラーレス一眼が買える価格です。

撮影(メイン)

撮影については本当に書きたい事がたくさんあるのですが、ここは心を鬼にして思い切り絞ろうと思います。
撮影自体は最初の方に書いた通り基本を押さえればどう撮ろうが自由だと思います。
自分が良いと思った画をどんどん撮影しましょう。

とは言えある程度ガイドがあった方が良いと思うので私が最低限確実に抑えるポイントを書こうと思います。
ですが、基本的にハイアマチュア向けのプロTIPSな感じです。

ここからの写真はCarl Zeiss Makro-Planar T*2 50mmレンズで撮影して16:9の画角におさめたもの。
ブログに乗せる都合で手っ取り早く写真でやりましたが動画でも基本同じです。

同じように撮るにはフルサイズ、フルマニュアルである必要がありますが、どんなカメラでも
この感じに近づける事は出来るので限界までチャレンジしてみて出来そうになければカメラを
アップグレードしていくのが良いと思います。

あと私の現状のレイアウトを使用して撮影していますが自分の満足の行くレイアウトではない
テストレイアウトのためあえて普段とは違う感じに駅を置いたりして次期レイアウトを想定しています。
背景が黒なのはスモークジェネレータを撮影するケースが多いので黒にしています。

私が普段気を付けているのは列車を低い位置から撮影したショットを必ず入れる事です。
H0スケールは被写体が割と大きいのでカメラを置ける高ささえ確保出来れば簡単です。

カメラで下から狙い難いNスケールでも工夫すればこんな感じでカッコよく撮影できます。

自分の動画を自分でカッコよくとか言うの恥ずかしいのですが他に良い例がすぐに見つからなかった。

続いて手前に樹木や架線柱を入れる事です、次期レイアウトではさらに様々なものを置く予定です。

このままカメラ固定で通過する様を撮影しても良い画になるし、後で紹介するドリーがあれば
手前を通過する樹木や架線柱が良いテンポを生みます。

BR515はドライバー付きなのでフォーカスを合わせてみました。

列車をあえてボカして駅舎内の様子へフォーカスをあわせて通過を撮るのも雰囲気最高です。

低い位置だけでなく上から駅舎内にフォーカスして通過する列車を撮影すれば
ドラマティックな演出になります。

先日の「第一回 模型演出研究会」でネレトー先生に頂いたフィルターを使って夜の演出に。

特に照明を仕込んだストラクチャーはレイアウト / ジオラマを引き立てます。
ただ暗いので動画ではシャッタースピードを稼げません、前回書いたようにハイエンドカメラ向きです。

せっかくなのであまり見せていない私のストラクチャーの人々の様子。

説明しないと気づかない時刻表を見る男性とワンちゃん。

列車の通り過ぎる隙間から駅舎から出る人を撮影。

実は待合室にルターさんがいる。このショットはドリーかスライダーで移動しながら撮りたい。

この駅は固定せずに設置もしていないのでこうしたテストに使える。
固定する前にこんな感じで色々と自分が良いと思ったアングルを探すのも良いかもしれません。

レイアウトモジュールギリギリなのでカメラもギリギリ寄れますので入線する様子もこんな感じで撮れます。

私の動画のメインは鉄道模型そのものから出るサウンドなので後付けSE(サウンドエフェクト)は
いれたくないのですが、こんな感じで動かない働く人をフォーカスすると入れたくなります。

通過する列車が入っていればSEを入れなくても想像で補完してくれそうです。

あえてカメラを少し斜めにして撮影するのも映像にテンポ感がうまれる効果があります。
しかし、やりすぎると素人臭い感じが出てしまうのでほどほどに。

撮影(Bロール)

Bロールはたぶん聞きなれない言葉だと思います。
映画などではメインをAロールと言いますが風景や情景描写、インサートと言われるような画が
だいたいBロールと言っていいと思います。

Bロールも必ず撮影します。
私の場合はハイスピード撮影(スローモーション)がそうです。
例えば先日アップしたICE4の動画のイントロ部分のモーショングラフィックに組み合わせている動画です。


RX100のハイスピード撮影は240フレーム/秒でシャッタースピードも1/240なので暗いし画質は悪いですが
とても効果的な演出が出来るので使いまくっています。
最近はスマートフォンでもハイスピード撮影が出来るの是非やってみてください。
RX100も1インチセンサーであまりボケを活かした演出は出来ないのですがそれでもフォーカスを
固定してハイスピード撮影すると見せたいポイントが定まり良い画が作れます。

そして何よりもハイスピード撮影だと手持ちで撮影しても手ブレが気にならなくなるので
気楽にたくさん撮影できます。
欠点として音が録れない、録れても現実のスピードとは違うので聞けたもんじゃありません。

ここからはRX100 MkVのハイスピード撮影したものの撮って出し静止画です。
これだけで見ると画質がとても悪いです。

これはイントロのモーショングラフィックで使うのであえて斜めに撮影します。

ヘリで追いながら撮影してるかのような演出もできます。

レールと車両を斜めに入れるとスピード感を強調できます、これをあえてハイスピード撮影でやります。

ゆっくり走らせてゆっくりドリーかスライダーで追えば良いじゃない?と思いますが
それだと地面や背景がきれいに流れてくれません、映像の流し撮りのようなイメージです。

RX100は小回りが利くので色々な角度で撮影してBロールにします。

ドリーとスライダー

なかなか買えても置くスペースがないと思うので軽く紹介程度にします。
ごちゃごちゃして分かり難いのですが三脚がレールに乗っているのが分かると思います。
E-IMAGE ED330 ポータブルスライダードリー、低価格で素晴らしい効果が出せます。
私のICE4の動画で列車を追いかけているのはこれのおかげです。
更に三脚の上にミニスライダーを乗せて複雑な動きで撮影しています。

前に電動ジンバルスタイビライザーでチャレンジしましたが鉄道模型は小さすぎるので
揺れを抑えられてもキッチリとした欲しいショットが撮り難い事がわかりました。

短い距離であればコンパクトなスライダーもあります、ただ本当に距離が短いです。
Nには良いかもしれませんのでこちらのKonovaのスライダーはNレイアウトが凄い方のもとへ行く予定。

イマジナリーライン

また聞きなれない言葉かもしれませんが日本ではイマジナリーライン、英語圏では180-degree ruleと言います。

例えばAさんBさん二人が正面を向き合って会話しているシーンがあるとします。
カメラに対して左にAさん右にBさんがいたとして、会話の途中で急にカメラが逆側へ回り込み
左にBさん右にAさんとなると見ている人は混乱します。
この超えてはいけないラインをイマジナリーライン、180-degree ruleです。
https://en.wikipedia.org/wiki/180-degree_rule
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%B3%E5%AE%9A%E7%B7%9A

Wikipeidaにもイマジナリーラインを超える方法が書いてある通り、ワンクッション置く必要があります。
以外と鉄道模型でこれを踏まえている人は少ないと思います。

もちろんそういう突然イマジナリーラインを超える事で演出として効果的な場合もあります。
この英語版Wikipeidaの方に書いてある映画シャイニングの1シーンが良い例です。
https://en.wikipedia.org/wiki/180-degree_rule

演者をあえて斜めに配置して会話に応じてまったく逆方向から撮影するテクニック。
美しいトイレをシンメトリックに見せる事で映像自体デザイン的になっています。
さすがスタンリー・キューブリックとしか言いようがない、撮影クルーは相当大変ですが!

鉄道模型でエンドレスを周回するような場合に私が気を付けているのは右に見切れていった列車は
かならず左から出てくるようにする事です。
意外と皆さんやりがちなのが右へ行ってまた次のカットですぐに右へ行ってしまうようなケースです。
出来るだけイマジナリーラインを想定して列車の行き来を撮影すると見る人も飽きずに見る事が出来ます。

とは言えスタンリー・キューブリックのように意外性をもって入れる事で映像としてテンポ感をあえて
乱して緩急をつける効果もありますので私もたまにやっています。

映像撮影にはたくさんのテクニックがありますが、鉄道模型は出来る事が少ないので
少ない中でとことん突き詰める方が楽しいと思います。

次はこれらを踏まえて編集関係について書きたいと思います。





2020年1月21日火曜日

模型映像制作概論-3 レンズとフレームレート

2020年1月19日日曜日「模型映像制作概論-2 カメラ」の続きです。

どんな人が読んでどこまで知りたいか不透明なままゆるい感じで進む映像制作概論ですが
一部の人にだけご理解頂ければ幸いと言う気持ちで進めていきます。
そうじゃないと書く事が多すぎて自分の精神が参ってしまう。

今回は今までの映像とカメラの構造を踏まえて、さらに一歩入ったレンズの面白さについて書きます。
光学的、物理学的な問題も絡んでくるので一部簡単に解説もいれますがまったく知らない人には
本当に難しい問題だと思います。
カメラはどこにでもあるので習うより慣れろでマニュアル操作で触って見るのが一番です。

センサーサイズとレンズの関係

前回最後にセンサーサイズの所で「レンズとセンサーの大きさで画作りの幅、表現の幅が違う」
と書きましたがもう少し具体的に説明します。

レンズとセンサーの大きさの違い。
スマートフォンはこの画像の1インチよりも更に小さい。
1インチはコンパクトデジタルカメラなど。
4/3はフォーサーズと読みますがこの辺りから一眼カメラになってきます。
センサーのサイズが大きければ大きいほどレンズの特色を生かした画作りが出来ます。
逆に小さいセンサーはその大きさを生かしてレンズも小さくした方が有利です。

大きなカメラ用のレンズと小さいセンサーで写真を撮る事ももちろん可能です。
https://en.wikipedia.org/wiki/Crop_factor

しかし、この画像のように35mmフルサイズカメラ用のレンズを使って小さいセンサーで撮影すると
クロップと言って単純にレンズの中央部分しか撮影できません。

これはこれでレンズが一番きれいに撮れる部分を使えます。
映画用のカメラがフルサイズのセンサーではなくSuper35mmと言って少し小さめな理由は
また別の理由がありますので別の機会に。

市販のレンズで「35mm判換算で○○mm相当」なんて書かれている理由は次の画像。
https://en.wikipedia.org/wiki/35_mm_equivalent_focal_length

これが書かれているのはフルサイズ用ではない小さいセンサー用レンズと言う事になります。
フルサイズで見た時にクロップされるので、クロップされた範囲がフルサイズで撮影した時に
何mmのレンズ相当なのかわかりやすくするために書かれます。
ざっくりですがAPS-Cは1.5倍、マイクロフォーサーズは2倍で計算すればだいたいのフルサイズ換算になります。

スマートフォンのようにレンズやセンサーが小さくても写せる物の大きさは変わりません。
変わらないように光学的にレンズを作っているからですが、小さい分入ってくる光の量は少なく
焦点距離も一定でボケを生かした撮影は基本的に出来ません。
とは言え近年デジタル的に後処理で追加する事ができるようになりました。

焦点距離

いよいよ実践的な話になってきます、次は焦点距離についてです。
クロップされないフルサイズ用レンズでの話で進めていきます。
レンズに〇〇mmと書かれているのは焦点距離の事です。
こんな感じで画角が変わってきます。画角とは写せる範囲と広さの事です。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%BB%E8%A7%92

焦点距離と言っているけど実際の距離ではなく光学系の主点から焦点までの距離で屈折回数で
レンズの大きさも変わってきます。
写真レンズの場合は合成焦点距離と言うそうです。

ここから私が4日前に作っていた画像をようやく貼っていきます。
レンズの違いは実物でやると余計な事が多すぎるのでCGで分かりやすく説明します。

まずはフルサイズ用レンズをシミュレーションして縦横比16:9(一般的なHDやUHDの縦横比)
すべてに焦点があっている状態(パンフォーカスと言います)
すべて同じ場所から教会を狙いレンズだけ変えて撮影。

24㎜レンズ

50mmレンズ

135mmレンズ

200mmレンズ

手前の建物と奥の建物が徐々に詰まってきて見えると思います。
全体的に密度の高い画作りが出来ます。

では次は24㎜レンズのまま場所を変えて教会へ寄って行き似たような画をさぐってみます。
24㎜レンズでそのまま最初の撮影場所。

50mmレンズに写っている建物を基準に寄った所、徐々に遠くの建物が遠くへ。

教会を135mmレンズと似た大きさに収めた所、手前に入っている建物が減り、遠くの建物は遠いまま。
後ろにあった鐘塔は教会のドームに隠れてしまった。

教会を200mmレンズと似た大きさに収めた所、ここまでくると建物も歪んで見える。

どうでしょうか?ほとんどの方は意識せずに感覚でこの写真の撮り方をしてると思います。
単焦点レンズ(ズームレンズではなく〇〇mmが固定のレンズ)の場合は自分自身が被写体に
寄ったり離れたりする必要があるので特に実感できます。

追記:比較しやすいようにまとめた画像も作成しました、消失点がすべて同じ所がポイントです。
クリックで拡大します。

被写界深度

被写界深度と言う言葉を聞いた事がある方も多いと思いますが、ようはピント(フォーカス)の
合っている範囲の事を言います。
この被写界深度とボケを生かした画作りをする時に重要なのが絞り(F値)の調整です。
Wikipediaにはボケを生かした撮影方法が日本発祥かのように書かれていますが、言葉として
ボケ=Bokehと言う言葉が英語でも使われるようになっただけで元々一般的な表現方法です。

ただピント(フォーカス)を合わすだけならフォーカスリングを回すだけですが、その
ピント(フォーカス)の合う範囲を調節するには絞り(F値)を調節する必要があります。
絞りは地球上の生物なら皆さん普通に眼球に備わっている機能なので分かりやすいはずです。
目が悪い人はとくに目を細めるとピント(フォーカス)があってくるはずです。

コンタクトレンズのアキュビューのサイトが分かりやすい。
「瞳のギモン『目のしくみ』:目を細めると見やすくなるのは、なぜですか?」
https://acuvuevision.jp/gimon/vol10_1

カメラ用レンズにはフォーカスリングがあるので絞ってさらにピント(フォーカス)を合わす事で
焦点の合っている範囲を自由に変えられます。

目と同じようにレンズの絞りもこうなっています、F値との関係も次の画像のような感じ。

人の目もそうですが絞ると入ってくる光の量も減るので暗くなります。
つまりピント(フォーカス)の合う範囲を広くしたければしたい程明るい必要があります。
逆に被写体以外がボケボケの画作りで良ければ暗くても絞りを開ければ大丈夫です。

パナソニックのデジタルカメラ講座のサイトが分かりやすいです。
https://av.jpn.support.panasonic.com/support/dsc/knowhow/knowhow06.html

次は先ほどのCGを使ってボケ具合をシミュレーションした画像を作ってみました。
上には真横からみたCGで何となくの焦点範囲をあらわしてます。
135㎜レンズで同じ場所から絞りを変えた場合を想定してます。

最初は全部に焦点が合っているパンフォーカスの状態。F22を想定。

次はF16を想定、徐々に前後がボケてきて若干明るくなってきます。

F8を想定、だいぶ焦点範囲が狭まり明るくなってくる。

F4を想定、後ろの鐘楼はボケて溶けてしまった。

F2.8を想定、明るさも増して後ろの鐘楼は見えなくなってしまった。

現実に晴れた日にここまでボケを生かした写真を撮るにはNDフィルターと言ってあえて入ってくる
光の量をコントロールする必要がありますがCGだと簡単。

どうでしょうか?ボケと言うのは一見邪魔なように思えますが画作りとして面白い効果があります。
映像を撮影できる機材の性能が悪かった頃はレンズもセンサーも小さく逆にボケを作るのが難しく
画作りとしてはペタッとしたフラットな画しか作れなかったのでビデオっぽい画と言うレッテルが
貼られていました。
今はレンズやセンサーが進化してハンディカムのような小さいビデオカメラでもそこそこ画作りが出来ます。

スマートフォンやGoPro等アクションカムは更に小さいので映像表現としては今でも
幅が狭いのが分かると思います。
写真であればデジタル的な後加工でボケを追加したりできますが、それはあくまで写真を
解析したうえでのものです。
映像でも出来るようになってきましたがまだウソっぽさが残ります。

縦横比による見え方の違い

少し雰囲気を変えて縦横比の違いについて見てみる事にします。
ここまでは縦横比16:9で様々な画角を見てきました。
次は4:3と言うどちらかと言うと写真や旧テレビの縦横比に近い形です。
24mmレンズ、単純に上下の見える範囲が広い事がわかります。

教会へ寄って見た所、いかにも写真と言った雰囲気になります。

最近スマートフォンなどで縦のまま撮影すると16:9が縦位置に記録する事になるのでこんな画になります。
確かに上下がすべて入るしスマートフォンに最適化されていて良いのですが映像的にはおかしく感じます。

前々回に書いた映像フォーマットについてをおさらいすると分かります。
2020年1月18日土曜日「模型映像制作概論-1 映画史と映像フォーマット」
元々映画館など広い所で上映する場合は横長である必要もあり長年横長の映像が一般化しましたが
HDTVの登場で更に人間工学的に距離と視野角から16:9が決定しました。
上下よりも左右からの情報を認識しやすい生物の目は上下に大きな画面には見慣れません。
やはり縦位置の映像はスマートフォン用と割り切った方が良いでしょう。

もし4:3や9:16の縦位置で撮ってしまって16:9の横位置の映像と組み合わせるとどうなるか見てます。
左は4:3を16:9横位置に、右は9:16の縦の映像を16:9横位置に収めた所です。
こういう状態をピラーボックスと言います、テレビを見ていて昔の映像を流すときにこの
左右黒い部分にボカした同じ映像をはめている事が多いと思います。
逆に4:3に16:9の映像を収める事をレターボックスと言います。

映像を編集する時に突然黒い部分が現れるのは、その瞬間にテンポが途切れ別の場面へ
シーンチェンジもしくは時代が変わったかのような錯覚になるので避けるべきでしょう。

実際に模型を撮ってみる

CGや屋外では明るく自由なのでどんな映像でも撮れますが屋内ではそういうわけには行きません。
次は屋内でちょっと照明を置いて撮影をしてみましたが、いかに悲惨な状況かわかると思います。

太陽光と屋内の照明の明るさについては過去に書いているので参考に。
2018年1月29日月曜日「レイアウトのライティングについての考察」

夏の太陽は晴天の昼で100000ルクス、冬だと50000ルクス。
うちにある照明は5500ルクス(高さ1m)を2灯、レイアウトをフラットに当てて撮影するため
ちょっと特殊な置き方をしました、足りない部分は古いLEDライトや家庭用スポットライトを
天井に向けてます。

今回は映像ではないけど絞りと明るさの関係を見るためCanon 6Dで撮影。

絞りとシャッタースピードを変更して明るさを合わせつつボケ具合の変化を見てみます。
Canon EF24-70ズームレンズで59mmまで寄って撮影。
シャッタースピード1/20 絞りf22 iso3200、これでパンフォーカス気味。

シャッタースピード1/125 絞りf11 iso3200

シャッタースピード1/1500 絞りf5.6 iso3200

シャッタースピード1/2000 絞りf2.8 iso3200、これで絞りは全開状態で開放と言います。

次は試しに絞りは開放でシャッタースピードとISO感度を下げて同じ明るさにしたもの。
シャッタースピード1/60 絞りf2.8 iso100、こんな事も出来ます。
シャッタースピードを下げる=センサーへあたる光の時間が長い
ISO感度を下げる=上げると明るくなるがノイズが増えるので出来るだけ下げたい

次はさらにパンフォーカスを追及するためにカールツァイスの15㎜で撮影してみます。
Carl Zeiss Distagon 15mm
シャッタースピード1/30  絞りf22 iso3200、これで似た明るさに。

写真の場合はトリミングできるので中央部分を切り取ったもの。
これでこの暗い室内でもほぼパンフォーカスになっています。

映像の場合はシャッタースピードで明るさを稼げないのでとにかく光量を稼ぐしかありません。
室内で光量を稼ぐにはとにかくお金をかけて照明を追加するしかありません。
過去にも書いていますがHMIと言う照明が最強です。
この写真のARRIのHMIは非常に高価なうえに家庭で使ってる人はほぼいないと思います。

とは言えここまでしなくても模型に十分な光量が当てる方法はあります。
これは先日のネレトー先生との模型演出研究会でも学んだ事なので別の機会に書きます。

シャッタースピードとフレームレート

実際映像を撮影する場合は最初の回で書いた静止画(フレーム)の連続なので、その連続数である
フレームレート(FPS=Frames Per Second)が重要になってきます。

静止画を撮影するのにシャッタースピードは自由に設定できますが映像の場合1枚1枚の静止画の
フレームレートが決まっていますので秒30フレームなら1/30、秒60フレームなら1/60以下の
シャッタースピードには出来ません。
出来るものもありますが同じフレームが連続してフレームが飛んで見えます。

ハイスピード撮影(スローモーション)する場合も同じです。
秒240フレームの場合はシャッタースピードを1/240以下には出来ないと言う事です。

さらにフレームレートで問題になってくるのが西日本と東日本で違う電気の周波数です。
LED照明になってあまり気にならなくなってきましたが、安いLEDや古い電球などはダイレクトに
周波数の問題に直面します。

下のアニメーションはテレビのリフレッシュレートを現したものですが説明に丁度良いので引用します。

このVideo Frames=フレーム数とReflesh Rate=周波数が合っていれば問題ありません。
しかし電気の周波数で明滅を繰り返す電灯の場合周波数と合っていないとチラついて見えます。
この現象をフリッカーと言います。

動画を撮った事のある人は分かると思いますが夜の街を撮影すると良く分かります。
例えば古い駅舎なんかの照明と街の看板でチラつきが違う事が分かると思います。
これが家庭内でも起きます。

西日本の人は実は映像フォーマットと相性が良いのです。
60hzなので60フレームの映像を撮影する場合シャッタースピードを1/60を最低にできますし
更に1/120や1/240でハイスピード撮影してもフリッカーが出にくいのです。

しかし東日本はなんと50hzです。これは映像にとって非常にやっかいです。
60フレームの映像を撮る場合丁度良いシャッタースピードは1/300からです。
どちらでも割り切れるシャッタースピードでなければなりません。

そのため撮影スタジオでは照明を安定化させるハイスピードなバラスト電源を使用しています。
メーカーや機種によってまちまちなのでカメラ側でシャッタースピードや絞りの調整は必要ですが
一般家庭用の照明とは比べ物にならないほど自由度が高いのです。

次はこれらを踏まえて映像撮影と照明と画作りについてちょっと突っ込んで書いてみたいと思います。

次:2020年1月27日月曜日「模型映像制作概論-4 映像撮影」