The Nameless City: 1月 2020

2020年1月29日水曜日

Nürnberger Spielwarenmesse 2020

(絶賛更新中:現地は終了してますがまだ新情報がありそうなので更新します)

今年も始まりました欧州鉄道模型界の祭典!

毎年この時期行われるニュルンベルク国際玩具見本市シュピールヴァーレンメッセの鉄道模型に
関係する情報を開始から終了するまでの約5日間情報が出次第追記していきます。

過去に私がまとめたブログはこちらです。すべて見ると傾向と対策が分かります。

Youtubeを貼りまくるので後半になればなるほど読み込みに時間がかかるかもしれません。
去年からFrank ButtigさんはXtrainでインタビューを行っているのでXtrainも貼るけど
現地からリアルタイムストリーミングなので翻訳が出ない。
一昨年までFrank ButtigさんがインタビューしていたModellbahnShop-Lippeの方も
貼るけどインタビュワーが変わって翻訳は出るけどインタビューとしての質は低い。
もどかしい!!

L.S.ModelsがSpielwarenmesseの案内図に出ていたけど直前で出展を取りやめたそうだ。
でも、去年までも単独出展はしていなかったのでそんなに驚く事じゃない。
Lemkeに一部置かれるかもしれないのでLemkeのインタビューに注目です。

..

A.C.M.E.





去年までのイタリア語→英語→ドイツ語と違いイタリア語→ドイツ語の直になったので若干残念。
本格的にドイツ語のヒヤリングなんとかしないとだめかもしれない。

Artitec



1/220のトラクターがすごい!!
Artitecは私もいくつか購入してるけど塗装はもちろんウェザリングもされていたりして
とても高品質、価格もそれなりにあがるけどそんなに高くない。
レイアウトのキーポイントに1つ欲しいメーカー。

Auhagen





Auhagenは古いクレーン車を商品化したようでドイツのフォーラムでプチ盛り上がりしていた。
このメーカーも品質が高く、価格も安いのでいつもお世話になってる。

Bemo




BRAWA





個人的に買おうと思っているCityjetカラーのTalentの展示はXtrainのインタビューでは出てこない。
貨車の新製品、V160、BR06などBRAWAらしい高品質な製品が確認できる。
しかし外見は良くても中身が良くない事があるので未知数。

V100は中身が一新、モーターやLED、デジタルカプラーを更新。
去年BR146は即売り切れてしまったようですぐに再生産が決まったようだ。

この両社インタビューには出てこないけどTwindexx Varioの電車タイプがボディだけ塗装済みで
展示されてる事が他の人のウォークスルー動画で確認できた。
Talentは予告のプレートが置いてあるだけだった。

Brekina


めったに買わないけど1/87車モデル。
2000年くらいのポルシェやVW GOLFなど。

Busch 



ロルシュ修道院の「王の門」、そして小さな飛行場など個人的に興味のあるものがいくつか。

ESU





ESUは主にn-Wagenについて、今までたくさん生産していたEilzugwagen同様室内など
超絶ディテールで作られている。あとGゲージのRhB ABe 4/4など。
他のブースに比べて商談スペースが大きく、しかも混んでいるので今年は模型やデジタルデバイス
よりも揃ったデコーダ類の商談がメインと言った感じだろうか。

Faller





Faller Createと言う3Dプリントサービスが始まる。
https://faller-create.de/
ブラウザ上で決められたテンプレートを組み合わせてストラクチャーを作ってオーダーすると
パーツが分かれて送られてくるシステム、大きくなればなるほど高額になるけど小さいと結構安い。
現在発送はEU圏のみ。

この建物は2~3分で作ったもの、すごく簡単で誰でも扱える。自由度はまだ少ない。
作った建物はオーダーしなくても保存される。

Märklin / Trix 新型ターンテーブル12度用の扇形庫も発売される。

さらに大型コンテナクレーンのバリエーション、建物も相変わらず膨大な量追加。
S-Bahnの都市型駅にありそうなアーケード付きの駅舎なども出る。
展示に巨大な城があるけど発売されるわけではなさそう。巨大すぎる。

Fulgurex 


Fulgurex は1番ゲージの展示が主、H0はブガッティのプロトタイプ。
H0mのASD、0ゲージのBLS Ae 6/8。
すべて真鍮製モデル。

Gützold / fischer-modell / KRES



GützoldはTT BR65。めちゃくちゃスムーズに動く様子が見れる。
作業用照明など細かいLEDも点灯するようで相当なこだわりを感じる。
サウンドモデルも出るはずだけど音は聞けない。そしてTTのBR175が出る模様。

Hack Brücken 



私もいくつか持っているHackの金属製の橋は今年いっきに商品が追加される。
主に長さのバリエーション、そして巨大な橋。

Heki






Hekiはとにかく安い!品質はそこそこだけど例えば大量に樹木を置きたい場合はこのメーカーの
セットを買っておけば間違いない。
今年はちぎって使う植生が発売される模様。

Heris





Herisはいつも渋い車両を出す、今年もロシア、中国の古い客車を展示。
無骨なロシア製の客車は何とも言えない魅力がある!

Herpa





個人的にHerpaはそこそこ安いので良く買うカーモデル。
消防車や大型の戦車橋など。

Hornby Group (Arnold / Jouef / Lima / Rivarossi / Electrotren)



ロケット号欲しすぎる!
ArnoldのNスケールにはNextになったESU LokSound Micro搭載。

Igra



Igra Modelが出展してるとは!チェコのストラクチャーがメインのメーカー。
私もいくつか購入したけどレーザーカットモデルなのにすごく安い!
今年は車両もたくさん出すようで、とくに東欧なのでTT製品が多い。
トラックは自国のタトラが多い。

Lemke




Lenz





残念ながらXtrainのストリーミングは安定しないので途中からになってしまった。
今年Modelleisenbahngesellschaft mbH (MEG)傘下になりレンツ氏は半引退でサポートに周る。
70代半ばになってもしっかりインタビューに答えるデジタル鉄道模型の生みの親。

0ゲージBR44、今年からKISSの0番ゲージの制作も担当模様。
Umbauwagenは色味を正確にした室内灯、フルデジタルのクレーン車は今年後半発売。

NMJ

Noch





寒いな、マフラー巻くか、コーヒー頂くかと小芝居を入れるFrank Buttigさんが最高。
コーヒーの次はビール、エナジードリンク、ワインと続いて終わるインタビュー。
本当に楽しそうにインタビューをする人だなぁと毎年思う。
PIKOおじさんほどじゃないけどNOCHでもかなり長居してる。

NOCHもFaller同様毎年凄い数の新製品を展示するので紹介しきれない。
個人的に注目はやはりMagnorailとのコラボ製品のクロスカントリースキーシーン。
そしてありがたい硬質フォームで作られた石垣シリーズ、お湯につけたりドライヤーで温めると
変形させる事が出来るのでとても便利。
サウンド込みのフィギュアも大量に追加される。
3D立体壁シリーズも充実、グラフィティの書かれた壁もちゃんと凸凹してる。
GrasMasterは3.0に進化したけど出力はさがった、しかしラインナップが増えて安い方は
100EUR切る安さで後発のRTS-GREENKEEPERシリーズに対抗する。
グラスファイバー用のテンプレートはたくさん入ってるので作るより早いかもしれない。

Märklin / TRIX






Class66の出来はESUとほとんど変わらない、ただし値段もそれなりに高くESUと同じ。
インタビューで開発にはかなり骨が折れたようで大変だったようだ。
両社ともにダイキャスト製で重くサウンドはもちろんスモークジェネレータも搭載してる。
MärklinのKöfは走行性能が高いのでKöf 3も欲しい。新型テレックスカプラー付き。

そしていよいよICE4が登場、ちゃんと先頭車のラインが黒い所がPIKOと違う。
ショーティだけどそもそも300㎜を超えるので短さを感じない。
インタビューでは既存のレイアウトを走行できるように短くしたと説明、Märklinはショーティが
基本なので言う必要もないけどフルスケールを望む声も多いのかもしれない。
室内灯標準装備、通電カプラー、サウンド、自動昇降パンタグラフ、とかなりリッチなモデル。
個人的にグリーンモデルが欲しいけど今年は買う物が多いのでプライオリティは低い。

ちょいちょい再販するビッグボーイはマイナーアップデート。
個人的に楽しみにしてるターンテーブルもいよいよ形になってきた。
しかし調整にあと数ヶ月必要で夏ころには発売できるかも?と答えてる。

ヴュルテンベルク鉄道175周年モデルはH0でもN(Minitrix)でも出る。
MinitrixのBR18は過去6回発売されていて、今回のバージョンは1957年頃でMinitrixでは初となるそうな。
BR44の乗るターンテーブルはH0より先に登場しそう!扇形庫はレーザーカットモデルで登場。

ZゲージはやはりVectron!これでサウンドまで出たらほんと欲しい。
1番ゲージの巨大なV320は重量9㎏!
LGBのラックレール蒸気機関車HG4/4の動きが見てて気持ち良い。

しかしMSLのインタビューの方が長く細かく見応えがあった。
Frank Buttigさんにこちらに帰ってきて欲しい。
Xtrainのインタビューで一番最初だったけどストリーミングが安定せず良く分からなかった。

PIKO





相変わらず陽気な社長のDr. R.F. Wilferさん。
検測車のネイティブACモデルがようやく出る!
そしてICE4が12両フル編成になるように中間車セットが2つ追加。
通電カプラーなどたくさんカプラーも出る模様。

全体的に価格はあがっているけどExpertシリーズはほんとクオリティが高く独自のデコーダになって
プログラマーやテスターも充実。

REE Modèles




個人的にフランスはまだ手を出していないので買う物はないのだけどもしフランスに
手を出していたら買いまくってるだろうREE。
ディテールもギミックもESUやBRAWA以上。
実際に持っていないので耐久性などはわからない。
蒸気機関車はH0スケールでダイナミックスモークジェネレータ、そしてシリンダーからスモークが出る。
今年は他社も出すSNCFのBBなど。

Roco & Fleischmann







Roco 2020新製品に関してはすでにカタログからいろいろブログに書いた。
2020年1月14日火曜日「Roco / Fleischmann 2020 カタログ」

EDK750など実際にコントローラで動かしている様子が確認できる。
KM1のロゴがあってどうしたのかと思ったらZ21 XLが1番ゲージ、Gゲージ対応になり
デモンストレーションしていたようだ。
Z21アプリも進化して特にレイアウト画面がかなり使いやすくなってる。
昔のZ21アプリのようにグリッド式が導入されるけど新しいのもそのまま使える模様。
FleischmannにもBR515、そしてRoco同様大量のVectron。

Silhouette



Silhouetteはもともとちぎって使う地面素材あったけど分厚くて扱い辛かった。
動画を見るとMartin Welbergさんのようなもっと完成された地面が出る模様。

Tillig




Viessmann / Vollmer / Kibri






Plasser & Theurer Unimat 09-4x4/4S かなりほしい。
5つのモーターで各部駆動するフルデジタルモデル、高額だろうけど楽しみ。
AC版はいつも通りMärklinから発売される、なのでDCCより高くなりそう。
https://viessmann-modell.com/en/detail/index/sArticle/2673

Weinert


Wiking



ラーダ!

Zeitgeist


残念ながらインタビューにバイエルン・ツークシュピッツ鉄道の情報なし。
その他の製品の進捗が見れる。


今年はFallerの一角に結構大きめにTomixも出展していて、Nスケールだけどトラムやバスを
推していく模様。



2020年1月28日火曜日

KATO パワーパック デジタル化

KATOのパワーパックのコントロール部はとても使いやすい。
全体としても丈夫で粗く扱っても壊れる感じが全然しない。
ACアダプターは別売りになってしまったけど3500円前後で買えるのでお得感ある。

DesktopStationさんで中の基板を変える事でDCCコマンドステーション化するキットが作られました。
さっそくキットを購入したので、電子工作は下手だけど作ってみた。
正直私のような電子工作に慣れていない人間でもWikiを見ながら簡単に作れた。
上級者向けとの事だけど、超簡単お手軽なうえに、原価割れ価格で放出中なので
優秀なコントローラー付き激安コマンドステーションが完成。

DesktopStationで購入
D99 HACX 2000円

ヨドバシで購入
KATO 22-018 スタンダードSX (ACアダプター別売) 3520円
KATO 22-082 Nゲージ N用ACアダプター 1760円

秋月電子で購入
0.96インチ 128x64ドット有機ELディスプレイ 580円
FT-232RQ USBシリアル変換モジュール 980円

送料別で8840円。
私はSXもアダプターも持っていてUSBシリアル変換モジュールも頂いてしまったので2580円ほど。

あとは手を動かすだけ。
制作中写真を撮ったので自分用メモとしてブログに残す。

ハンダごては鉄道模型をはじめた5年前から使っているHAKKO FX-600 温度調整が出来る。
Yaasanさんが前に使っていたモデルで確か知り合う前にブログを見て購入した。

HAKKO 633 こて台とHAKKO 599B ワイヤータイプのこて先クリーナー。

キット中身、上の緑のユーロコネクタは追加で購入したもの。
基板には難しいパーツがすでに実装されているので簡単。

Wikiの写真を見るだけで取り付ける極性はわかるけど、ちゃんと確認して取り付け。
まずはコンデンサーから付けたけど最初に電流センサーICからやるべきだった。

背面で折ってハンダ付けして余った足は切断。

グラついたりしないか確認。

タクトスイッチをバシバシ取り付ける、刺さる方向は決まってるので極性も間違えない。

取り付けたら1か所だけハンダ付けして表を見てまっすぐになるように調整。

調整したら全部ハンダ付け。

L字ヘッダーはテープで固定してから。

裏へ回ってハンダ付け。

ピンフレームはそのまま刺して裏からハンダ付けした。

すっかり電流センサーICの事を忘れているけど進んでいく。
次はスタンダードSXを解体。

基板からハンダを溶かして外そうと思ったけどかなり硬いので切ってしまった。

切ったらワイヤーストリッパーで剥くけど長さが足りないものは後で付け足した。

HACXへ移植した所。

電流センサーICがない事にようやく気付いてハンダ付け、これもテープに止めてやると楽。


ICのように小さいと隣同士ハンダがくっついていないか導通確認をテスターでする。
ハンダ同士くっついていなくても基板やIC側で導通している事があるので判断が難しい。
図面を見ると分かるかもしれないけどこれが見てもなかなかスッと頭に入ってこない。
日々精進。

写真は電流センサーIC付ける前だけど、L字ヘッダーにUSBシリアル変換モジュールを付けて
ファームウェアの書き込み。ボードはArduino Unoで書き込み。

動作確認、DSwatchを使ってちゃんとDCCの信号がレールから出ているか確認。 

スタンダードSXに穴をあけて基板を載せて完成。

OLEDの表示内容も見やすくてスピードメーターがコントロールツマミと連動するのが気持ち良い。

DCCコマンドステーションとしてはボタンが少ないのでアドレス入力などが面倒だけど
さっと取り出してさっと試運転みたいな時に重宝する。
CVの読み書きが出来るのでローラーテストスタンド専用でも良いかもしれない。
あと自分の場合はECoSのSnifferポートへつないでコントロールしようと思ってる。
このSXの優秀なコントローラーは片手で持っても使いやすいので撮影しながらやりやすい。
撮影の場合スマホだと結構すべり落ちそうになるのでアナログの方が良い場合もある。

Wikiに書いてある注意事項だけ要注意。
使用しているモータドライバIC TB67H450FGが突入電流に弱いため、
環境によっては頻繁に保護機能による出力停止の可能性があります。
これはレイアウトのレールの状況によっては頻繁に止まる可能性があると言う事。
改造例があるので改造しても良いけど、私のように特殊な使い方に向いているかも。

こんなお手軽にコンパクトでコントロールのしやすい簡易DCCコマンドステーションが出来るなんて
DesktopStation Yaasanさんには驚かされるばかり。
ちなみに量産予定はないとのこと。



2020年1月27日月曜日

模型映像制作概論-4 映像撮影

2020年1月21日火曜日「模型映像制作概論-3 レンズとフレームレート」の続きです。

「こうしましょう!」「あ~しましょう!」と言うのが苦手で、恥ずかしくなってしまう。
大昔に会社や学校でデッサンやAdobeのソフトの使い方の講師をやった事があって母校の大学にも
非常勤講師として誘われた事があるのですが大学の方は運良く30歳以上じゃないとダメだったので
断るまでもなかったので助かった経緯があります。
とにかく講師は自分には向いてない、暗い部屋でコツコツと1人で作業するのが好み。

とは言え「模型映像制作概論」を書こうと決めたからにはちょっと先生っぽくなって書いて行こうと思います。
まだまだ終わりません、説明下手なので今回も大きく脱線しながら解説していきます。
今回も長いので時間のある時読んでみてください。

デッサン

いきなりですがデッサンと言うと何だと思いますか?
クロッキーのような速写?下書き?図面?
実際総称なのでいろいろですがデッサンの本質は物の捉え方です。
イラストなどでデッサンが狂ってるなんて言葉聞きますが、何が狂ってるんでしょうか?

ここで美大受験予備校の凄腕デッサンタイムラプスを見てましょう。
御茶の水美術学院の2019年の芸大合格者による実演だそうです、ほんとすごい!
「OCHABI_「ヘルメス 石膏デッサン_タイムラプス」美術学院2019」

縦に撮りたくなる気持ちわかる、わかるがダメだ!下からあおりで胸像も入れれば16:9に収まる。
フル尺バージョンもあります。ヘルメス胸像は画像検索して写真を見て比較してみてください。
https://www.youtube.com/watch?v=W39xe6-r64o

フル尺が6時間と言う事からも芸大(東京芸術大学)の試験の時間を想定してるのがわかります。
私も芸大を何度か受けてますが入れなかったのでこれがいかに凄いか身に染みてわかります。
6時間で石膏像をここまで捉えられるのは訓練と磨かれたセンスです、どちらが欠けてもダメです。
ちなみに私の時代で芸大行く人は3浪~5浪当たり前でした。
(私は2浪してますが50倍の難関を超え運よく五美大の1つを卒業してます)

このデッサンを踏まえて「絵が上手い」とはどういう事か説明できますか?
写実的が一番わかりやすいかと思いますし皆さんもそう思っているんじゃないでしょうか。
ではピカソのキュビスムは下手な絵なのか?と言うとそうじゃないですよね。
ピカソは写実的な絵も得意ですがキュビスムは物の捉え方をひとつじゃないと分かりやすく
再構成したものです。

いや、わかんないよ!と言うのが多くの人の本音だと思います。
しかしデッサンをやると少しずつ理解できるようになります。
何故なら人が「見る」と言う行為は神経の塊である眼球から脳へ伝わり、そこで記憶や触覚の経験などを
経て再構成されて初めて「見た」となるわけです。そこからようやく描くという行為が発生します。
哲学的、形而上学的な話になってきますが、それが絵などアートの基本だと思います。
デッサンは「見る」と同時に「見た」を構成する作業と言えます。

しかし「眼球から脳へ伝わり、そこで記憶や触覚の経験などを経て再構成」と書いた通り
これだけ抽象的になりえる漠然とした経路を通ってアウトプットされたものが10人描いて
10人同じものになるわけがない。

だから私は描き方、撮り方はこうあるべきなんて言いたくないんです。
とは言え基礎は大切です。
デッサンをやっていない、デッサンを知らないのにデッサンを語るようなものです。
味噌の入っていない味噌汁みたいな書き方になってますが、これは撮影や編集でも同じ。

ここからは分かりやすく写実的な絵を描く前提で話を進めていきます。
例えばデッサンや絵でいきなりディテールから入る方がいます。
ダメな例として貼り付けて申し訳ないのですが、この方は分かりやすいダメな例です。
「Sketching a plaster cast with just HB pencil」

この方はそもそも写真を見ているので石膏像を見ながら描くデッサンより捉え方が楽なはずです。
なぜなら1度写真と言うアウトプットで絵作りがされているからです。
この雰囲気絵は独特で面白いですがキュビスムでもなく捉え方がおかしいのがわかります。
全体的にべたっとしていて輪郭にとらわれすぎて立体感も遠近感もない絵になっています。
現実には輪郭の線なんて存在しないのになぜ線を描いてしまったのか?
立体物は回り込んだ所の影や光で輪郭が見えてきますが線なんて実際はないんです。

もう1つ凄いデッサンタイムラプス見つけた、少し全体をとらえてすぐにディテール行ける
訓練もセンスも凄すぎるデッサン。この方は別格だと思いますので真似しちゃいけません。
このYoutuber面白いから登録しちゃおう。おちゃこん、どばこんは爆笑した(笑)
美術予備校で何を学ぶか良く分かります、美大って描き方を学ぶ場だと思う人もいらっしゃると
思いますが違いますよ、美大は描ける人が行く所ですよ。
私大デザイン科は色彩構成と言うデッサンとはまた別の技能が必要ですが素晴らしい動画アップされてます。
2019年になっても私の頃と変わらない出題内容でした。興味のある方はこちらもどうぞ。

この書き方で最終的に誰もが素晴らしいと思えるものに出来る方は本当の天才です。
実はそういう天才はたくさんいます。
その天才のように自分も描きたい!と思って同じ描き方を真似てもたいてい無駄です。
何でもそうだと思いますが形から入るのは悪い事ではありません、しかしなぜそうする必要がある?
なぜその道具が必要?と言う疑問を持ち基礎を学ぶ事は重要です。

デッサンの基礎で言うと次のデッサン教室の動画がめちゃくちゃ分かりやすいです。
「顔を描くとき間違え易いポイント5選【実技編】デッサン教室初心者へ」
構図=フレームにおさめて、影や光の捉え方を順序立てて実演と解説もしてくれる素晴らしい先生です。
自分も今から再度学ぼうと言う気になってきました。
デスケル(デッサンスケール)を使用しない構図の決め方は真似しない方が良いかもしれませんが!

でも絵描きたいって思って勉強始めた人は「うわーめんどくさい!」って思うかもしれませんね。
しかしこれが出来る人と出来ない人の差が絵が上手い人と下手な人の差です。
写実的かイラスト的かどうかは別の話です、上手い風に描ける下手な人はどこかでバレてるので
ちょっと恥ずかしいかもしれません。

さてここまで書いて今更ですが、なぜデッサンから書こうかと思ったかと言うと
深津貴之さんの次のツイートを昨日見たからです。
元の音声も15分くらいなので、時間のある時に聞いてみてください。
デッサンが「捉え方」「考え方」の基本になると言う凄く良い説明になってます。

これらは美大受験経験者からすれば当たり前の事だと思いますが多くの人は知らない事だと思います。
もし興味を持ったらデッサン教室や美術予備校の体験に行くと楽しいですよ。
そして様々なものに応用できるのが分かると思います。

iPhone11 Pro

やっと撮影関係か!自分で書いててもうんざりする。
でも今まで書いてきた事がなぜ必要か徐々に分かって頂けると思います!

いきなりですが今月Appleが公開した素晴らしいショートフィルムから。


撮影監督ローレンス・シャーがiPhone11 Proだけで撮影。
3つのレンズを活かした素晴らしいショットの数々。
前回書いた通りボケを活かした撮影は出来ませんが演出とストーリーテリングでそんな事は意識させません。

iPhone11 Proならだれでもこんな撮影が出来る!そう思わせる素晴らしいプロモーションですが
しかしそこが肝です、次はメイキングを見て見ましょう。


どうでしょうか?
撮影してるローレンス・シャー監督は確かに最小限のリグとマイクとiPhone11 Proで
撮影しているのがわかります。
しかし周りを良く見て見ましょう、ものすごい数の照明と撮影機材や特効の数々。
演出がカメラだけでは出来ない事が良く分かるメイキングだと思います。
これは誰でも出来るものではありません。

前回書いた画作りの1つであるボケを活かす事が出来ないディスアドバンテージがありますが
そこはアイデアと編集、ストーリーテリングで埋めていけます。
しかし基礎が出来てる人がiPhone11 Proで撮影するからすごいのであって初心者には難しいでしょう。

やはり良い画を撮りたい場合はそれなりに予算を組んで基礎が学べる機材を揃えた方が良いでしょう。
撮影の基礎が学べるカメラは色々ありますが出来るだけマニュアル操作が出来るものです。
フルマニュアル操作が出来る一眼カメラでさらに動画撮影向きなものが良いですがだいたい高価です。
とは言えiPhone11 Proも安くはありません、ミドルクラスのミラーレス一眼が買える価格です。

撮影(メイン)

撮影については本当に書きたい事がたくさんあるのですが、ここは心を鬼にして思い切り絞ろうと思います。
撮影自体は最初の方に書いた通り基本を押さえればどう撮ろうが自由だと思います。
自分が良いと思った画をどんどん撮影しましょう。

とは言えある程度ガイドがあった方が良いと思うので私が最低限確実に抑えるポイントを書こうと思います。
ですが、基本的にハイアマチュア向けのプロTIPSな感じです。

ここからの写真はCarl Zeiss Makro-Planar T*2 50mmレンズで撮影して16:9の画角におさめたもの。
ブログに乗せる都合で手っ取り早く写真でやりましたが動画でも基本同じです。

同じように撮るにはフルサイズ、フルマニュアルである必要がありますが、どんなカメラでも
この感じに近づける事は出来るので限界までチャレンジしてみて出来そうになければカメラを
アップグレードしていくのが良いと思います。

あと私の現状のレイアウトを使用して撮影していますが自分の満足の行くレイアウトではない
テストレイアウトのためあえて普段とは違う感じに駅を置いたりして次期レイアウトを想定しています。
背景が黒なのはスモークジェネレータを撮影するケースが多いので黒にしています。

私が普段気を付けているのは列車を低い位置から撮影したショットを必ず入れる事です。
H0スケールは被写体が割と大きいのでカメラを置ける高ささえ確保出来れば簡単です。

カメラで下から狙い難いNスケールでも工夫すればこんな感じでカッコよく撮影できます。

自分の動画を自分でカッコよくとか言うの恥ずかしいのですが他に良い例がすぐに見つからなかった。

続いて手前に樹木や架線柱を入れる事です、次期レイアウトではさらに様々なものを置く予定です。

このままカメラ固定で通過する様を撮影しても良い画になるし、後で紹介するドリーがあれば
手前を通過する樹木や架線柱が良いテンポを生みます。

BR515はドライバー付きなのでフォーカスを合わせてみました。

列車をあえてボカして駅舎内の様子へフォーカスをあわせて通過を撮るのも雰囲気最高です。

低い位置だけでなく上から駅舎内にフォーカスして通過する列車を撮影すれば
ドラマティックな演出になります。

先日の「第一回 模型演出研究会」でネレトー先生に頂いたフィルターを使って夜の演出に。

特に照明を仕込んだストラクチャーはレイアウト / ジオラマを引き立てます。
ただ暗いので動画ではシャッタースピードを稼げません、前回書いたようにハイエンドカメラ向きです。

せっかくなのであまり見せていない私のストラクチャーの人々の様子。

説明しないと気づかない時刻表を見る男性とワンちゃん。

列車の通り過ぎる隙間から駅舎から出る人を撮影。

実は待合室にルターさんがいる。このショットはドリーかスライダーで移動しながら撮りたい。

この駅は固定せずに設置もしていないのでこうしたテストに使える。
固定する前にこんな感じで色々と自分が良いと思ったアングルを探すのも良いかもしれません。

レイアウトモジュールギリギリなのでカメラもギリギリ寄れますので入線する様子もこんな感じで撮れます。

私の動画のメインは鉄道模型そのものから出るサウンドなので後付けSE(サウンドエフェクト)は
いれたくないのですが、こんな感じで動かない働く人をフォーカスすると入れたくなります。

通過する列車が入っていればSEを入れなくても想像で補完してくれそうです。

あえてカメラを少し斜めにして撮影するのも映像にテンポ感がうまれる効果があります。
しかし、やりすぎると素人臭い感じが出てしまうのでほどほどに。

撮影(Bロール)

Bロールはたぶん聞きなれない言葉だと思います。
映画などではメインをAロールと言いますが風景や情景描写、インサートと言われるような画が
だいたいBロールと言っていいと思います。

Bロールも必ず撮影します。
私の場合はハイスピード撮影(スローモーション)がそうです。
例えば先日アップしたICE4の動画のイントロ部分のモーショングラフィックに組み合わせている動画です。


RX100のハイスピード撮影は240フレーム/秒でシャッタースピードも1/240なので暗いし画質は悪いですが
とても効果的な演出が出来るので使いまくっています。
最近はスマートフォンでもハイスピード撮影が出来るの是非やってみてください。
RX100も1インチセンサーであまりボケを活かした演出は出来ないのですがそれでもフォーカスを
固定してハイスピード撮影すると見せたいポイントが定まり良い画が作れます。

そして何よりもハイスピード撮影だと手持ちで撮影しても手ブレが気にならなくなるので
気楽にたくさん撮影できます。
欠点として音が録れない、録れても現実のスピードとは違うので聞けたもんじゃありません。

ここからはRX100 MkVのハイスピード撮影したものの撮って出し静止画です。
これだけで見ると画質がとても悪いです。

これはイントロのモーショングラフィックで使うのであえて斜めに撮影します。

ヘリで追いながら撮影してるかのような演出もできます。

レールと車両を斜めに入れるとスピード感を強調できます、これをあえてハイスピード撮影でやります。

ゆっくり走らせてゆっくりドリーかスライダーで追えば良いじゃない?と思いますが
それだと地面や背景がきれいに流れてくれません、映像の流し撮りのようなイメージです。

RX100は小回りが利くので色々な角度で撮影してBロールにします。

ドリーとスライダー

なかなか買えても置くスペースがないと思うので軽く紹介程度にします。
ごちゃごちゃして分かり難いのですが三脚がレールに乗っているのが分かると思います。
E-IMAGE ED330 ポータブルスライダードリー、低価格で素晴らしい効果が出せます。
私のICE4の動画で列車を追いかけているのはこれのおかげです。
更に三脚の上にミニスライダーを乗せて複雑な動きで撮影しています。

前に電動ジンバルスタイビライザーでチャレンジしましたが鉄道模型は小さすぎるので
揺れを抑えられてもキッチリとした欲しいショットが撮り難い事がわかりました。

短い距離であればコンパクトなスライダーもあります、ただ本当に距離が短いです。
Nには良いかもしれませんのでこちらのKonovaのスライダーはNレイアウトが凄い方のもとへ行く予定。

イマジナリーライン

また聞きなれない言葉かもしれませんが日本ではイマジナリーライン、英語圏では180-degree ruleと言います。

例えばAさんBさん二人が正面を向き合って会話しているシーンがあるとします。
カメラに対して左にAさん右にBさんがいたとして、会話の途中で急にカメラが逆側へ回り込み
左にBさん右にAさんとなると見ている人は混乱します。
この超えてはいけないラインをイマジナリーライン、180-degree ruleです。
https://en.wikipedia.org/wiki/180-degree_rule
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%83%B3%E5%AE%9A%E7%B7%9A

Wikipeidaにもイマジナリーラインを超える方法が書いてある通り、ワンクッション置く必要があります。
以外と鉄道模型でこれを踏まえている人は少ないと思います。

もちろんそういう突然イマジナリーラインを超える事で演出として効果的な場合もあります。
この英語版Wikipeidaの方に書いてある映画シャイニングの1シーンが良い例です。
https://en.wikipedia.org/wiki/180-degree_rule

演者をあえて斜めに配置して会話に応じてまったく逆方向から撮影するテクニック。
美しいトイレをシンメトリックに見せる事で映像自体デザイン的になっています。
さすがスタンリー・キューブリックとしか言いようがない、撮影クルーは相当大変ですが!

鉄道模型でエンドレスを周回するような場合に私が気を付けているのは右に見切れていった列車は
かならず左から出てくるようにする事です。
意外と皆さんやりがちなのが右へ行ってまた次のカットですぐに右へ行ってしまうようなケースです。
出来るだけイマジナリーラインを想定して列車の行き来を撮影すると見る人も飽きずに見る事が出来ます。

とは言えスタンリー・キューブリックのように意外性をもって入れる事で映像としてテンポ感をあえて
乱して緩急をつける効果もありますので私もたまにやっています。

映像撮影にはたくさんのテクニックがありますが、鉄道模型は出来る事が少ないので
少ない中でとことん突き詰める方が楽しいと思います。

次はこれらを踏まえて編集関係について書きたいと思います。