The Nameless City: 世界最大の玩具見本市で見る鉄道模型

2019年2月6日水曜日

世界最大の玩具見本市で見る鉄道模型

ドイツ ニュルンベルクで1月29日から行われていたSpielwarenmesse2019が2月2日に終了。
日本からも数多くの玩具メーカーが出展していて鉄道模型だとKATOが出展。

このブログでも各社インタビューをまとめてます。
2019年1月30日水曜日「Nürnberger Spielwarenmesse 2019」

また電気屋の毎日 Yaasanさんが技術的な面から主にDCCについて分かりやすくまとめています。
電気屋の毎日 2019年02月05日「DCC 2.0はどういうものか」

実際に行ったわけではないので空気感や見て回った感想にはならないけど私もインタビューや
会場を回ってる動画を見た上で自分なりの感想をまとめてみようと思う。

KM1不在

いきなりネガティブな感じだけど、今年はKM1が出展をやめてしまった。(ソース
おそらく去年11月に開催したそこそこ大きな規模のプライベートエキシビションが成功したからだと思う。

Spur1 Unterwegs November 2018: Hausmesserundgang bei KM1 by iSteam


多種多様な人が集まるSpielwarenmesseも良いけど、1番ゲージと言うニッチな模型だと
確実に興味のある人だけをターゲットにした方が効果が高いのかもしれない。
実際上記の動画を見てもたくさんの人が集まっていて関心の高さがうかがえる。

実はゲーム業界でも同様の動きがあって今年の世界最大のコンピュータゲーム見本市E3 2019に
24年間出展し続けてきた業界最大手のソニーが不参加を決定した。
しかもプレスカンファレンスもやらない。
(参考:IGN なぜソニーはE3 2019に参加しないのか?3つの仮説

ゲーム業界はまた別の問題があって市場規模はとてつもなく大きいけど差別化が難しくなってきてる。
同じゲームを複数のプラットホームで共有する事が当たり前になりハードで売って行くのが
困難になってきた、そして独占タイトルに資金を投入した方が優位に立てる。
とは言えIGNの記事にもある通り一時的な物のようにも思える。
小出しにするよりもいっきに何かを発表した方が効果は大きいのかもしれない。
こうした思い切った決断が出来るソニーはやはりすごい。

ゲームからしたら市場規模の小さな鉄道模型、しかも1番ゲージでは意味合いが全然違うと思うけど
ファンを大切にしたいと言う気持ちは同じではないだろうか。私もそのファンの一人。

最先端を行くESU

これも間違いない、PIKOがESUのデコーダから自社デコーダへシフトして間もないけど
ESUは次世代になるLokSound V5を1月1日に発表、すでにV60に搭載して発売してる。

16bitのクリアなサウンド、4倍になったメモリ、ファンクションが32個等々パワーアップした。
個人的に歓迎したいのはLenzが提唱するABC=Automatic Brake Controlに完全対応した所。
LokSoundは前からRailCom対応でABCにも一部対応していて、自動ブレーキは今までも出来たけど
今回V5になってあらたに自動往復運転が出来るようになった。
コマンドステーションで指示する事なく自動往復するのでシステムがすっきりする。
これでLenzのデコーダでしか出来なかった事も出来るようになり完璧なデコーダになった。
LokSoundは誕生して今年で20年、Spielwarenmesseも同じだけ出展してるそうで歴史がある。
そしてデジタル鉄道模型に与えてきた影響が巨大。これからも頂点に君臨し続けそう。

アイデアで勝負のViessmann

Viessmannは現在VollmerとKibriを吸収しそれぞれの長所を生かした製品で毎年Spielwarenmesseが楽しみ。
ViessmannはとくにPlasser&TheurerやRobelなど工事車両が充実してる。
サウンドはもちろんギミックも盛りだくさんで1両あれば長く遊べる。



そしてストラクチャーと組み合わせたギミックが多いのも特徴で今回特に素晴らしいのがVollmer製の
トンネルと道路を組み合わせたLEDミラーエフェクト付きのトンネル。
https://viessmann-modell.com/sortiment/elektronik/elektronik-effekt/2609/h0-strassentunnel-klassisch-mit-led-spiegeleffekt-und-tiefenwirkung

奥行きがあるように感じるけどトンネル部分は厚さ2.2cmしかない。

https://youtu.be/DjHANTIDRyQ?t=838

重ねた鏡にLEDが映ってるだけなんだけどミラー自体若干暗くする事で反射の回数が多いほど
徐々に暗くなってると言う素晴らしいアイデア。
正面からみると完全に鏡なのでレイアウトに置く場合は工夫が必要だけどこれは無意味に欲しい。
他にもサウンドと同期した射撃訓練や動く釣り人など楽しいギミックのある新製品が多い。

レーザーカット製品が充実するNOCH

今年のNOCHの製品で気になったのがChristl-Hütte。
Christl-Hütte mit micro-motion Kellnerin
https://www.noch.de/de/christl-huette-mit-micro-motion-kellnerin-66403.html

レーザーカット製品なので価格もそこそこするけど、ドアが開いて中から店員が出て来るギミックがある。
そして興味深いのが画像にもある通り手前を走る鉄道がZeitgeist Models製の模型。
ラックレールのバイエルン・ツークシュピッツ鉄道。
他社製品とコラボして写真を撮る所が素晴らしい。

Fallerの巨大コンテナクレーン

Fallerの巨大コンテナクレーンは去年も出品されていて注目もされていたけど、今年はモーターも
内蔵してパソコンから操作する様子がModellbahnShop-Lippeのインタビュー動画に映っていた。
https://www.faller.de/App/WebObjects/XSeMIPS.woa/cms/page/pid.14.17.89/agid.1127.1202.1231/atid.15974/lg.de/ecm.at/Container-bridge-crane.html

ブラウザから操作する様子が映っている。
https://www.youtube.com/watch?v=4J3KGxG-qqw

小さなクレーンはRocoやMärklinからたびたび販売されてるようでジョイスティックで操作するものや
DCCで直接ファンクションで操作するものなどがある。
しかしここまで巨大なものは見た事がない。幅も654mmある。
いつかこれを置けるレイアウトを作って見たい。

Märklinから自社ターンテーブル登場

今まで他社製品に頼っていたMärklinが自社でターンテーブルを出す。
しかもターンテーブルでは珍しいサウンド付きで楽しめる。
https://www.maerklin.de/de/produkte/details/article/74861/

操作もファンクションで出来るようなのでmfx+だけでなくDCCでも操作できる。
3線式のメリットであるリバースを内蔵する必要がないので配線もシンプルなはず。
発売が楽しみ!

Märklin verbindet Generationen

そして子供向けだけどMärklin My Worldシリーズの充実っぷりも凄く無視できない。

My Worldシリーズのレールは見た目は通常のH0スケールでC-Gleisに似てるけど金属パーツがない。
電池で動きそして赤外線でコントロールする事ができる。
WiFi内蔵モデルはないけど、音も出るしスモークが出るモデルもある。
ドイツでのプラレールのような存在。
プラレールのように鉄道以外のものもラインナップ。

エアポート

貨物積載所

プラレールと違うのはこれがH0だと言う事。
公式サイトの左上に「Spur H0」と書かれてる事からも最初のステップとしての製品なのが伺える。
Märklinが掲げるスローガンに「Märklin verbindet Generationen」がある。
直訳すれば「メルクリンは世代を繋ぐ」
プロモーションビデオはこちら。


もう一つ去年10月にアップされた感動するプロモーションビデオ、Gleis1セットとストーリーが繋がる。


160周年を迎え、途中経営が傾いたりしたけどそれでもなお欧州シェア1位に君臨するMärklin。
スローガンからもなぜ1位を維持出来ているのかが分かる気がする。
実際世代を切り捨てる事もしてるんだけどうまく切り替えて来た。

このブログでも何度も書いてるけどMärklinはデジタルへの舵取りがうまい。
80,90年代アナログから意識せずにユーザーは徐々にデジタルへ移行できた。
3線式が移行しやすいと言うのもあったと思うけど、いっきに切り替えるのではなく徐々に
切り替えたのは相当大変だったと思う。

Spielwarenmesse2019を振り返る

こうして今年のSpielwarenmesseを振り返るとやはりドイツの鉄道模型は先端を突っ走ってる印象。
日本のKATOも頑張っていてZimoのサウンドデコーダを搭載したICE4は良いきっかけになりそう。

タカラトミーは出展していたのだろうか?公式サイトには書いていない。
日本の人口はそれなりに多いので国内で売れればそれで良いとも言えるけど、ゲーム業界のように
海外とのトレンドに差がついて気付いた時に真似してみても時すでに遅しで技術がまったく
追いついてない何てこともある。

鉄道模型は特に市場規模が小さいので幅広い対応、ユーザーに選択肢を与え続けないと
プラレール→鉄道模型なんて世代の移り変わり方もないだろうし、プラレールを卒業したら
そこで終了な気もする。実際どうなんだろうか。

Märklinのような160年続く鉄道模型メーカーを少しでも参考にしてもらいたいものです。




2 件のコメント:

  1. 私も行ったことはないですが(今回の会場であるニュルンベルクのメッセは別の展示会で何度も行ってますが・・・)、勝手に最近の技術動向を書かせて頂きましたが、ご紹介頂きありがとうございます。

    非常に分かりやすく、ポイントをまとめられていて、日本の模型メーカーのエンジニアやマーケティング担当者はノートに書き写した上で、暗記必須と思います!

    ずっと言おうと思って言ってませんでしたが、LokSoundV5のファンクションがF32まで増えたとのことですが、これはMarklinのmfxフォーマットのみの対応と思います。DCCは規格上、F28までしか通信仕様が策定されてません。拡張するのは不可能なので、mfxモードではF32で動かせますよ、ということだと思います。今まではLokSoundV4 M4だけだったのが、M4以外の全シリーズで動かせるようになったのかなと思います。

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    1. Yaasanさん、こんばんは!

      ファンクションの件NMRAで決まっていたんですね!
      実はV60まだ全然触れてなくてF31とF32は音量とブレーキ音のオンオフとマニュアルに書いてあるので特に気にしていませんでした。
      そこで今ようやくファンクションマッピングを見てみたらF28以上存在しない事がわかりました。
      これはECoSでもZ21でも同じです。

      marklin-users.netのフォーラムを見てみたら現状CS2とUhlenbrockのコマンドステーションだけと書いてありました。
      そして自分の動画の考察がされてる事に気付いて恥ずかしい!

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