振り返り
私のスピードマッチングとの闘いは2016年鉄道模型を本格的に開始してすぐに始まった。
まずはこのブログの記事から振り返り。
2016年4月29日金曜日「Speed Matching その1」機関車によって速度差がすごくて、これが製品の特長なのか設定の間違いなのか当時は理解できていなかった。
最初にやったのはz21によるマルチトラクション。
オーバルを走らせて細かく計測するもの。

これでも全然揃わないのでどうしてか調べるとスピードテーブルの存在を知る。

JMRIで見るとこんな感じ。
これが各機関車バラバラな事がわかった。
次にやったのがこちらの記事。
2016年5月8日日曜日「Speed Matching その2」
SPROG II v3とMTS-DCC Speedometerを使用してスピードステップの調整を自動化。

しかし加減速やBackEMFをオフにしてもこのありさま。

がったがたでMTS-DCC Speedometerで何度やっても同じ結果。
設定なのかスリップしてるかどうか答えが分からなかった。
NからH0に移行しようと決めた理由の1つだった。
2016年の段階では正直自分の限界で敗北。
「Speed Matching その1」でも書いているけど当時スピードマッチングは重連の多いアメリカに
情報があったのでそっちをベースに調べていた。
スピードテーブルを細かくいじっても苦労の割にぜんぜんマッチしない。
次はアメリカ型で多いAccutrack II Speedometerを使って手動でやってみようと思ったけど
結局スピードマッチングはやらなかった。
なぜならH0だとBackEMFのおかげで初期設定でもそこそこ重連できてしまうから。
大きいのは良い事だ。

しかし14日に届いたSpeedboxを知ってまたやって見ようと思った。
2020年3月16日月曜日「RZTec SpeedBoxが届く(日本初上陸)」
RZTec SpeedBox&iTrain&ECoSの接続
ここから本題、今回は RZTec SpeedBox。そしてiTrainと言うDCCソフトウェアを使ってスピードマッチングする。
まずiTrainを選んだ理由は、本当はシェア1位で高機能なFreiwald Software Train Controllerが
良いと思うけどSpeedboxを使った自動化がGoldでしか出来ないので649ドル支払う必要あり。
今年バージョン5になったばかりのBerrosのiTrainはProで349ユーロ、Plusで269ユーロで安い。
そして調べるとサポートにだいぶ差があるそうでiTrainは絶賛されていた。
しかしまだ情報はTrain Controllerの方が圧倒的に多い。
どちらもトライアル期間があるけどiTrainは申請するとProが2ヶ月も使えるので勉強してみようと思う。
RZTec SpeedBoxに対応したソフトウェアは予定も含めて以下の4つ
Traincontroller 9 Gold
Win-Digipet from version 2018.1
iTrain from version 5
Railware is currently in preparation.
今回のシステム、iTrainでECoSとSpeedboxをInterfaceに登録し一括コントロール。
機関車はÖBB RCA VectronとČD EC Vectron。
RZTec SpeedBoxは私が購入してからディスプレイのないLite版が発売された。
スタンドアローンでも使えるけど主にPCと接続するので画面も見難いし確かにいらない。
iTrainとECoSの接続はLAN経由、ラグは一切ない。
iTrainはまだ車両部分しか触っていないけどJAVAが必要なのがJMRIと同じでちょっと面倒。
そのかわりMacを含む様々なプラットホームで使える。
セットアップ
RZTec SpeedBoxを使ったスピードマッチングの基本は単純。SpeedBoxソフトウェアを使ってDCCの基本CV値であるV-max=CV5 V-mid=CV6を
スケールスピードと合わせる事から始める。
そしてスピードマッチングする場合は各スピードステップのスケールスピードをDCCコントロール
ソフトウェアで記録しDCCコントロールソフトウェアのステップではなくスケールスピードで
コントロールすると言う物。
最初に書いたアメリカ型とやり方が違う、各機関車のスピードステップを変更してマッチングするのではなく
V-maxで最大電圧=最高速度(オプションで中間)を決めてからマッチングはソフトウェアに任せてしまう。
コストはかかるけどこちらの方が確かに良い。
まず個別のスピードステップの調整は苦労する割にまともな結果はなかなか得られない。
最高速度をちゃんとスケールスピードで計測する事で基準になる。
そこから細かい調整はソフトウェアでやれば手間が大幅にはぶけるだけでなく、ソフトウェア上の
走行タイミングのシミュレーションも正確になる。
まず準備としてデコーダ側の加減速の設定を切る。
加減速がそのままでもいいけど計測に距離も時間も必要になるので切っちゃった方が良い。
CV3とCV4は0にしてしまう、もちろん元の値はメモしておく。
ちなみにBackEMFも切った方が良いけどH0だと大差ないかもしれない。
スピードステップと加減速についてはYaasanさんのブログが詳しい。
2015年01月11日 DCCの速度ステップと、滑らかな加減速問題
V-maxのスケールスピード測定
SpeedBoxとUSB接続しドライバを入れ専用ソフトを起動した所。
これが基本画面で分かり難いけど入力できるのはCV5とV-maxの所。
まずここに現在のCV5の値と希望の最高速度をV-maxに入力する。
今回はECoSを使ってCV値を読む、CV5は150。

右のCV5に150、V-max最高速度はRailjetやICEに合わせても良かったけど230kmや250kmって
模型だとかなり早いので相当大きなレイアウトじゃないと怖い。
とは言え将来的に大きなレイアウトになる可能性も踏まえてわかりやすい200kmにした。
CV値とV-maxを入力したらコントローラーを最大にしてSpeedboxを通過させる。

すると259.1km、CV5の値を127に変更するように教えてくれる。
ECoSで127に設定。

すると168.6kmで遅すぎる、143に設定するように言ってくる。
またECoSでCV値を変更して、徐々に精度をあげていく。
5回くらいで200.5kmになった、エラー見たいな言葉が出るけどこれでOK。
本当はDesired speed reached.と表示されるはず、日本語環境がいけないのかも。
CV6=中間速度も一応調整する、半分なのでV-midも半分の100kmにした。
コントローラーでもスロットルを半分でSpeedboxを通過させる。

CV6を丁度半分の100で99.9kmになった、この機関車でやる必要なかった。
iTrainで速度測定
次はiTrainに移って速度測定する。この作業はTrain Controllerなどにもある機能なので基本的に同じはず。
iTrainでInterfaceにECoSとSpeedboxを登録してConnect。
ECoSの場合機関車情報はすべて自動で読み込まれる。
Speed measurementsを開いて計測する。
機関車は個体差あるけど前進、後退で速度差があるので両方計測する事にした。
自動とは言え全ステップすべて計測すると時間がかかりすぎるので2ステップ毎にする。
右クリックのメニューから「Select with step 2」を選ぶ。
すると1ステップ飛ばしで選択してくれる。
最初は最大速度から開始するので機関車をオーバルの反対側に配置させておく。
下のStartボタンを押して開始。
Speedboxを通過すると自動でiTrainのステップの所にスケールスピードが入力される。
通過後しばらくすると機関車は自動停止する。
そしてまた最大速度で後退し、自動で停止。これを各ステップ繰り返す。
96まで来た所。2ステップ毎なのでガタガタしてるけどこれでOK。
56まで来た所、全体を見ても直線でない事が分かる。
22まで来た所、90あたりからはまっすぐ。
計測終了、前後進2ステップ毎で約30分かかる。
Applyを押すと計測していない所は平均値を自動入力してなめらかにしてくれる。
次にiTrainで重連設定をしてテストしてみる。
BackEMFを切ったり全ステップ計測すれば完璧になるかもしれない。
どのみち計測前に数時間走行させて機械的に慣らしておいた方が良かった。
考え方に違いがあるのが分かった。
ただしz21では単体でスケールスピードは測れないので基準を作る事が出来ない。
やはりあらかじめSpeedboxで計測する必要がある。
簡単な動画をツイッターにアップしたので埋め込み。
脅威の各スピードテーブルのスケールスピード自動計測の様子を15倍速で。— Nardi (The nameless city) (@NamelessCityTky) March 17, 2020
V-maxのスケールスピードも計測して基準にする事で精度があがります。
本格的にスケールスピードとスピードマッチングをやるにはこうした機材があると楽です。 pic.twitter.com/8dwm0QDmZx
スピードマッチングした機関車を重連設定して距離を置いて撮影。— Nardi (The nameless city) (@NamelessCityTky) March 17, 2020
ざっくりマッチングでもここまで精度が出ます。
各スピードテーブルのスケールスピードでスロットルを回すのでECoS側のスロットルに微妙な差が出るのがこの動画で分かります。 pic.twitter.com/A9tohc90Ps
これはいい!
返信削除重連はうちのレイアウトでは必須項目の1つです。
なんなら重連+補機なんてのもやりたいのですが、機関車の個体差のせいで結構難しかったんですよね。
はじめはデジトラのMU接続機能で試してみようと思ってましたが、うちも脱デジトラしてしまったので最悪の場合はアナログ機からモーター引っこ抜いてトレーラー車化してしまおうかと考えていました。
ちょっと機材をそろえるのに奮発しないといけませんが、長い目で見れば大したことない金額。
それにしてもNardiさんのリサーチ力と行動力には頭が下がります。
もはや日本デジタル鉄道模型界のパイオニア的存在ですね。
Gutさん、おはようございます!
削除ありがとうございます!リサーチ力はほとんど運任せな所があります。
パイオニアは言いすぎですが、他の方よりも嗅覚が優れているのか「今一瞬見えたのなんだ?」みたいな所にすぐ気付いてるんだと思います。
おそらくドイツの模型雑誌を見てればわかる事なんでしょうけど、日本には絶対に入ってこない情報も運でゲットです。
今回はRonnyさんに日本初と言って頂いたので分かりましたが他にも日本初な物は結構ありそうです。
おっしゃる通りNは個体差激しいですよね、どうしてもイナーシャやバックラッシュもスケールが小さい分大きくなりますから個体差も倍々で大きくなりそうです。
コマンドステーションはたいてい重連機能がありますがH0じゃないとそのままでは使い物になりませんよね。
今回私も意外だったのがコマンドステーション+デコーダの機能でスピードマッチさせるのではなくスケールスピードを記録したパソコン上のソフトウェアでやる所です。
これなら間違いないですからね、デコーダの設定やギアのバックラッシュなど個体差に依存しない実測の速度で合わせるわけですから。
ほんとオススメです!問題はコストだけですね・・・。