The Nameless City: 鉄道模型の多様性2 多様性について

2019年1月20日日曜日

鉄道模型の多様性2 多様性について

去年8月に鉄道模型の多様性のうち多種多様な製品があると欧州型を中心に書きました。

前後してしまいますが、今回は鉄道模型趣味を始めて約4年が経ち私なりに感じてきた事
思う事を一度書いておこうと思います。
偉そうに書いているように見えたり説教くさく読めてしまうかもしれないのでご了承ください。
そして数年後にはスタンスが変わるかもしれません、私もロボットではなく人間なので
別の意見に左右されます。

まずはこのブログやツイッターをずっと見ている方はしつこいと思われてしまうかもしれませんが
また多様性について書きます。長いので時間のある時に読んで頂けたら幸いです。
(画像は著作権フリー素材を購入またはWikipediaからの引用です)

多様性とは

私の書いている多様性を勘違いしてる方がいらっしゃったのでもう一度明確にしておこうと思います。
私は学者ではありませんし生物多様性とは違うかもしれません。

多様性は「みんな手を取り合って仲良く認め合いましょう」と言う仲良しになろうって話ではありません。
多様性は「それぞれあって、それぞれ良い」と言う事を私はずっと書いてきました。
ではそのまま今のままで何が悪い?と思われる方もいらっしゃるかもしれませんがそれは違います。
世界を見ると「それぞれ」の部分がとても幅広く選択肢をユーザーに与えてる所が小さい日本の
鉄道模型市場と大きく違います。

鉄道模型の起源をタネとします、そこから様々なスケール、ゲージ、交流、直流、アナログ、デジタル等々
分岐していき成長していきます。これは他の分野でも同じです。

地上の見えてる所だけが成長するのではなく地面の下には根があり、更に分岐して成長していきます。

1840年ドイツの量産型鉄道模型を起源と仮定して、時が経ち上下にたくさん広がる系統樹。
「上がアナログ、下がデジタル」「上がNスケール、下がH0スケール」など色々置き換えて見てください。

生物のように分岐と絶滅を繰り返します。例えば2番、3番ゲージはもう量産されていません。
そして乱暴に言えば日本の鉄道模型市場は現在デジタルに消極的でこの系統樹の下側がごっそり
ない状態に近いと思います。

この系統樹から消えてしまったKATOデジタル。
KATOデジタル KATO DIGITAL カトーデジタル
Kato digital control system
https://raicho.home.xs4all.nl/model/control/katoctrl/katodigital/Katodigital.html
KATOは現在DCCに特化したメーカー製品を使用して自社の模型をDCC化出来る日本では数少ないメーカーです。

実際の生物の多様性は膨大です。しかも誰かが選択してきた物ではありません。
https://en.wikipedia.org/wiki/Phylogenetic_tree

私も前は勘違いしていましたが生物が進化する過程で絶滅と繁栄を繰り返すのは、環境に自然と適応して
行くからだと思っていましたが生物に詳しい妻にその考え方は違うと教わりました。
(完璧に間違いと言うわけではないけどダーウィンの説なので古い考えと言える)

実際にはすべて偶然の産物で46億年の歴史のなかで重要なのは突然変異であると言う事でした。
環境に適応し慣れて来たと思ったら病気や氷河期が訪れる、これを乗り越えられるのがそれまで
適応してるとは思えなかった突然変異した個体またはグループです。

ネオダーウィニズム
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%8D%E3%82%AA%E3%83%80%E3%83%BC%E3%82%A6%E3%82%A3%E3%83%8B%E3%82%BA%E3%83%A0

多くの人から見ると特殊で違う存在に見えても将来何かに適応できるのはその個体とグループかもしれません。
もちろんすべてではありません、たくさんある突然変異した中で何が生き残るかは誰にもわかりません。
エラーだと思ってもそれを排除するのは間違いです。
セントラルドグマと言われる分子生物学の概念がありますが、その過程でエラーが起こる事があり
それが突然変異です。これは異常な事のように思えるけど大切なエラーです。

セントラルドグマ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%AB%E3%83%89%E3%82%B0%E3%83%9E

そして、その生き残りが現在の私たち地球上の様々な環境に適応した生物です。

昨今ニュースになるような多様性はLGBTなど性に関する話題が大きいと思います。
これは多様性のひとつの側面にすぎません。
自分とは違う性のあり方に嫌悪感を持つ人も必ずいます、これも異常な事ではありません。
種として生き残るのに自分とは違う種を排除したいと言う衝動はDNAに刷り込まれた記憶と
でも思って良いかもしれません。

しかし人類が劇的に増えたのは社会性を手に入れたからです、増えた事が良い事か
悪い事かは今はまだ書きません。
助けあい、弱者を守る社会は類人猿、さらに文明を持つ前からあった事が分かっているそうです。

自分とは違う(ように思える)人を守る事によって、先ほど書いたように大量絶滅を避ける事が出来ると
我々人類はDNA的に知ってると言えます。
我々の祖先は数十万年前は数百人まで減少したと言われていますが、そこから70億に到達したのは
偶然ではなく社会的に多様性を守ってきたおかげと言えます。


この辺の事はだいたいサピエンス全史と言う本に書いてあります。
余談ですが狩猟民族だった我々人類の祖先は家畜と作物を作る事を覚えますが、これは昨今
尊い生命を無駄にしては行けないと言う団体もあるけど、逆の視点から見れば最も種として
成功してるのはその家畜や作物です。
数万年前に人類を奴隷として種を自動的に増やしていくシステムを手に入れてます。
幸福の尺度も時間軸もそれぞれです、視点を変えればまったく違った見方が出てきます。
セミの一生は有名ですが、地上に出て数十日で死ぬのが可哀想と思うのは人間の尺度です。

話を戻して、排除するのではなく自分とは違う(ように思える)人を守り大切にする事がこれからの
人類にも必要な事だと思います。

生物多様性のなかでも遺伝的多様性について書きましたが鉄道模型でも言えます。
デジタル鉄道模型に嫌悪感を抱く人もいますし、逆にアナログに嫌悪感を抱く人もいます。
NスケールやH0スケールでもあるでしょうし、既製品と工作するモデラー間でもあるでしょう。

DCC(デジタル)とアナログの違い

お互い仲良くと言うのは八方美人、都合が良すぎます。
もちろんどちらも楽しんでいる方が大半です。
ただ自分が正しくて相手が間違っていると論破しようとしたり、ひどいと人格を否定するような
発言までありますが、これは間違っています。
お互い楽しんでいるものを尊重し否定したい場合は相手の意見をしっかり理解した上でするべきです。

ディベート
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A3%E3%83%99%E3%83%BC%E3%83%88

まずは自分が無知である事を知る事が大切です。
私はその点4年前まで鉄道にそもそも興味がなく、鉄道模型と言う趣味も小学生時代におもちゃとして
少し買い与えられたくらいでまったく知らなかったので最初から無知でした。
すべてが新鮮ですべてが楽しい、しかし4年経つと色々と思う所が出てきます。
前回も書きましたがなぜ欧州型鉄道模型をメインにしてる方々と日本型鉄道模型をメインにしてる
方々で性格がこうも異なるのだろうか?と言う所です。
これについては個人的にまだ答えは出ていませんしツイッターなどで様々な意見を頂いてます。
デジタルやアナログ、スケールやゲージなどの多様性の話とはまったく別の次元の話です。
個人攻撃をする、攻撃的なマウンティングするなどただでさえ狭い趣味を更に狭めてしまうのではないか
と思ってしまいます。

そこをクリアしてようやく多様性について語れる、議論が出来るような気がします。
まずは相手の意見を尊重し敬う事からです。

そして「論破=勝ち」と思わず、グレーゾーンの意見もある事も尊重してください。
Aは駄目だけどBが良い、Bは駄目だけどAが良い、AもBも良い、AもBも駄目。
AもBもCも良い、AとCは駄目だけどBとDは・・・などなど無限に広がる
1つに固執せずに多様性を認める事で「そういう意見もあるよね、自分は違うけど」で良いんです。

何度も書いていますが「自分が絶対正しい、相手が間違ってる」などと決して思わない事です。
そしてこれはツイッターで言える事ですが、なぜか自分に向けられて書かれてると勘違いする人が
多い事も最近気になっています。
自意識過剰から来るものか、マウンティングしたいか、承認欲求の現れかもしれません。
それぞれあっても良いけど、まずは相手の意見を尊重して敬ってから意見を言うべきです。

全員が全員この多様性について理解できるとも思っていませんし理解して欲しいとも思っていません。
これもまた私個人のひとつのちっぽけな意見にすぎません。
そして私も人間なのでいきなりネガティブな意見をされると、感情として「なんで?」となります。
耐性はある方ですが怒る時は怒ります、人間ですから。

追記:
私のブログの文章(コメントを含む)を一部でも引用する場合はその記事のURLを引用元として
必ず書いてください。URLをリンクをするだけなら必要ありません。
と言うのも言葉尻だけ捉えて解釈を変えられてしまうと私の言いたい事とは違う事が
独り歩きしてしまうためです。
このブログについてにも書いています。
https://www.namelesscity.tokyo/p/blog-page_48.html

2019.8.5追記:
UX/UIデザイナーの深津 貴之さんが分かりやすく素晴らしい解説を投稿しました。
私の鉄道模型限定の話と合わせて読んでください。
「多様性と均一性のちがいについて」2019/08/05 20:37 深津 貴之 (fladdict)


3 件のコメント:

  1. 最近流行っている本で、「わけあって絶滅しました」があって、子供が読んでいたので、自分も読みましたが、本当に納得します。模型も生物も、確かに共通点が多いなと感じました。

    私もDCCに情熱を持ちすぎているので、アナログ模型に対してdisっていることについては大いに反省すべきところもたくさんあると実感しておりますが、それも絶滅を危惧しての事ではあります・・・。

    マウント取った取らないとかより、もっと根本的な、日本の鉄道模型市場の急激な縮小が始まっていることをうすうすと感じているので、その点が何よりの懸念です。

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    1. Yaasanさん、こんにちは!

      「わけあって絶滅しました」良いですね!今度読んで見てます!
      アナログをdisる事をやめては行けないと思います、そういう人がいなくなるのも問題だと思っています。
      言葉は選んだ方が良いとは思いますが私はYaasanさんの力強い言葉は心強いと思います。

      Yaasanさんは私よりも何百倍も日本の鉄道模型市場に詳しいですからその懸念は怖いですね。
      老舗店舗閉店やメーカー閉鎖など世代交代とも取れますが、後に続く世代がないのは我々世代のせいではありません。
      その老舗店舗やメーカーとその世代のユーザーのせいです。
      他の分野でも言えると思いますが、自分たちの事しか考えて来なかったツケが今になって回ってきてるんだと思います。

      我々のような小さな鉄道模型のムーブメントは絶やしてはいけませんね。
      それこそ趣味として絶滅してしまう。

      *怖いので修正しました、反省

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  2. らすと~ぶさん、おはようございます!

    またまた最高のコメントありがとうございます!ROMでも全然ありがたいです!
    今回も勉強になる説得力のある言葉で鉄道模型を愛する皆さんに読んで頂きたいですね。

    まずいきなりPC-9801なんて書いたっけ?と思ったらKATOデジタルの写真のパソコンがそうなんですね!
    昔家にあったのですが忘れていました(笑)

    DCCが古い技術と言う事はYaasanさんも良く仰っていていて勉強させてもらっています。
    何故この時代双方向通信じゃないんだ!と素人目には映っていましたが、逆に言えば最も安定した強固なシステムとも言えます。
    エラーですっ飛んでいくなんてあってはならないですしね。

    しかしおっしゃる通り副通信系の混在は問題ですね。
    そしてRailComなどのフィードバックはYaasanさん的にもNGだそうです。
    個人的には便利なシステムですがプロから見ると微妙ですよね?
    Digitraxはアメリカのフォーラムでもやっと20年前になったと言ってる人がいました(笑)

    「コレクター相手のR指定無しのビジネスモデル」
    ほんとこれが大きいですよね、私も最近ようやく分かってきました。
    そのビジネスモデルで半端なシステムへ投資なんてするわけないですね。
    では新しい技術を開発できるか?と言うとそこまで投資できる体力はなさそうです。

    ファンクションの応用性ではやはりESUの機関車は自社でコマンドステーションやモジュールを開発してるだけあって素晴らしいです。
    この多機能機関車の楽しさは日本型の人は誰も味わえてないわけですから、どうにか日本型でESUの機関車のクオリティに近づけたいと思っています。

    ところが最近何度か書いていますが日本型鉄道模型を愛する方々のコメントが怖すぎてわたし個人では手を出し辛いのが現状です。
    排他的、差別的とでも言いますか、新しい物への拒絶反応は称賛に値するかもしれません。
    そんな目に常に晒されてるメーカーは本当に大変な思いをして開発してるんだなと思って悲しくもあります。
    クオリティを上げても価格が高い、エラーがひどいとクレームが来るなんて救いようがありません。

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