The Nameless City: 模型映像制作概論-2 カメラ

2020年1月19日日曜日

模型映像制作概論-2 カメラ

2020年1月18日土曜日「模型映像制作概論-1 映画史と映像フォーマット」の続きです。
最初にこちらを読む事をオススメします。

はじめに

世界の人口は70億を超えスマートフォンユーザーは40億を超えていると言われてます。
通常スマートフォンにはフィーチャーフォン時代からは比べ物にならない高性能なカメラ機能がついています。

カメラの歴史について書くと映像史よりも遥かに長く深いものがあるので割愛します。
コンピューターの発達と小型化でカメラのフルオート機能が優秀になり誰でも簡単に良い画が
作れるようになりました。
これは良い事ではありますが1歩踏み込んだ画作りをしようとするとフルオートは邪魔になってきます。

カメラに関してはプロでなくても詳しい方も多いと思いますので分からない事は身の回りの
詳しい方に直接感覚で聞くのが早いでしょう。

そして何よりカメラそのものはカメラを作っているメーカーの解説を読むのが近道です。
「Panasonicのデジタルカメラ講座」が分かりやすくてオススメです。
https://av.jpn.support.panasonic.com/support/dsc/knowhow/index.html

キャノンニコンも初心者向けのサイトがありますがかなり専門的です。

ソニーは画作りがメインになっていてこちらもオススメです。
https://www.sony.jp/support/ichigan/enjoy/photo/

今回は画作りが出来る映像向けカメラについて簡単に解説します。

カメラの種類

カメラと言ってもたくさんの種類があります。
最初に書いたスマートフォンの機能の一部もそうですし、一眼レフ、チェキ、防犯カメラ
車の自動運転、ロボット、なんでもカメラが付いています。
そして現在はどれも基本的にレンズがついています。

カメラの始まりの「カメラ・オブスクラ」「ダゲレオタイプ」と言った写真史についてはWikipediaで読めます。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%8F%B2

昔はフィルムに焼き付けて写真を作っていたのに対して現在の主流はセンサーに直接光をあて
デジタル処理して写真を作っているので根本的にフィルムとは構造が違います。

Panasonicのデジタルカメラ講座「カメラの原理と種類」が分かりやすいので
こちらも合わせて読んでください。
https://av.jpn.support.panasonic.com/support/dsc/knowhow/knowhow01.html

現在でもフィルム写真は残っていますがデジタルとどちらが良いか悪いかなどは書きません。
歴史についてもいっきに飛ばして現在の主流なデジタルベースのカメラについて少し解説します。

スマートフォン

今は誰でも高性能なカメラを持っていると言っても過言ではありません。
近年複数のレンズとセンサーを持ったカメラが出現していて、かつてのBolexのカメラを彷彿とさせる。
https://en.wikipedia.org/wiki/IPhone_11_Pro
https://en.wikipedia.org/wiki/Bolex

スマートフォンはアプリも内蔵されているのでそのまま編集もできYoutubeやSNSへアップロードも簡単。
ただしセンサーとレンズの大きさが小さいのでボケなどを生かした画作りが苦手。
その代わり最近ではアプリ側でわざとボケを足す事が出来るようになりました。
小さくて出来ない事はアプリ側でデジタル処理しよう!という発想です。

じょばんにさんがiPhone 11 Proでの撮影についてちょうど良いタイミングで書かれていますので
こちらも合わせて読んでください。
http://giovanni-ihatov.hatenablog.com/entry/2020/01/19/164315

コンパクトデジタルカメラ

フィルム時代のコンパクトカメラはレンズ一体型でマニュアル操作が出来て高価なレンズを
搭載した高級機もありましたが基本的には簡単で安いものが主流でした。
現在のコンパクトカメラのスマートフォンとの違いはセンサーやレンズも大きくなり、画作りの幅が広い。
スマートフォンとの差別化で高級機が多めかもしれません。
私の所有するコンパクトデジタルカメラSony RX100 MkV。
4k動画撮影もできS-Logと言う階調表現に自由度を与える撮影方法が出来て更にフルHD
120/240フレームのハイスピード撮影もできるので重宝しています。

一眼レフカメラ

カメラが多様化しレンズ交換式が珍しくなってしまった現在、一眼レフカメラと言うとレンズ交換が
出来るカメラと言う認識が一般的かもしれません。間違いではありませんが正確ではありません。
Panasonicのデジタルカメラ講座」でも書かれていますが一眼レフカメラとはレンズから入った光をミラーやプリズムで屈折させファインダーで見る事が出来るカメラの事です。

注:ファインダーと言うのは一般的には光学式ファインダーでカメラの覗き見る部分(オレンジ丸)です。

簡単に言うと、どんなレンズを付けてもそのレンズの画がファインダーで直接見れると言う事です。
スマートフォンに慣れているデジタルネイティブな人からすると
「え??普通直接レンズの画を見れるんじゃないの?」って思うかもしれません。
それは後述するデジタル処理をしてディスプレイに表示させていますので光学的に直接見ている
ファインダーとは構造が違います。

次の写真はレンズを外して屈折させるためのミラーが見えるところ、撮影ボタンを押すと
このミラーが上がって(更にシャッターが開き)センサーに光が到達します。
私の所有する一眼レフカメラCanon 6D、現在も写真用にフル活用中。

一眼レフカメラに対して二眼レフカメラというのはファインダー用のレンズがあり、このような
複雑な機構が必要なくフォーカスも合わせやすいという特徴があります。
しかし現在日本では量産されていません。

ミラーレス一眼カメラ

ミラーレス一眼カメラは一眼レフカメラと名前は似ているけど構造はまったく違います。
ミラーレスと言う言葉からも分かる通り前述のミラーが存在しないデジタル世代の一眼カメラです。
レンズを外すといきなりセンサーが現れます。
私の所有するミラーレス一眼カメラSony A7s、私の鉄道模型動画のほとんどをこれで撮影しています。

フィルムからセンサーを使ったデジタル式になり光学的にファインダーを見る必要がないため
センサーから入ってデジタル処理された画像をディスプレイに表示したり小さなディスプレイで
出来た電子式ファインダーで見れるようになりました。
ただしファインダーは光学的ではないためディスプレイの性能によって見え方が変わります。

ミラーレスの利点は軽量コンパクトに出来る事、レンズからセンサーまでの距離が短いため
レンズも幅広く対応できるようになります。
レンズからセンサーまでの事を鉄道用語とも近いフランジバックと言います。

デジタル映画カメラ

今は映画用カメラもデジタルが主流です。
フィルムにこだわりのある監督達もいるため今でも彼らの力を借りフィルムの製造が行われています。

良く貼っている写真ですがRED EPICにAngenieuxのOptimo 17-80mmで撮影してもらった時。

Sony F55にFUJINON ZK12×25で撮影してもらった時。

上記二つは撮影監督がいて私が演出と言う立場のケースです。
私も低価格ですが自前でデジタル映画カメラを持っています。
Sony FS700、4k RAWユニットも所有してますが今は出番がほぼありません。
この写真はあるアーティストの撮影ですが予算の関係から手持ちの機材で済ませました。
この場合は撮影も私ですがライティングだけ友人に頼みました。

これらデジタル映画カメラは高価ですが画作りの幅は半端なく広いです。
写真撮影でも同様ですがセンサーから入った光の情報を生のままデータを保存する方法があります。
この生データは劣化もしていませんし幅広い光の情報が残っているので画作りがしやすいのです。

一般的なスマートフォンやデジタルカメラはMP4形式など扱いやすいデータ形式になると思います。
これは撮影段階でカメラ側で色付けし形を整えて出力し出来上がったデータです。
撮影のフルオートに加えて、フィルムで言う現像のフルオートがあるような感じです。

フィルムの現像についてはこちらへ
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%8F%BE%E5%83%8F

民生用カムコーダ

いわゆるソニーのハンディカムのような一般家庭向けのビデオカメラです。
https://en.wikipedia.org/wiki/Camcorder

私も数台持っていますが何年も稼働していなくて倉庫へ入れてしまい、出すのが大変なので
写真はWikipediaから引用です。

近年の民生用カムコーダもセンサーが一眼レフカメラなどと同じ物が使われるようになり画質が向上しました。
(ざっくり昔はCCD、現在はCMOSです)
高級機になるとレンズやセンサーの大きさも大きくなり画作りの幅が増えます。

データの保存形式や保存メディアも普通のカメラやスマートフォンと同じなので形は違っても
中身はほとんど変わらない物になってきました。
利点は長年のノウハウの蓄積もありバッテリーが長持ちだったり軽量で持ちやすいなど工夫がされています。

今回紹介してきた中でレンズが固定のコンパクトデジタルカメラと似ているかもしれません。
フルオートでも優秀ですし、マニュアルでもある程度画作りができます。

センサーサイズ

ここまで注意深く読んでくださった方はお気づきかと思いますが、レンズとセンサーの
大きさで画作りの幅、表現の幅が違うと言う事が分かると思います。
おまけに価格も上昇しプロ向けになればなるほど大きくなります。

レンズを通して入ってきた光を受けるのがセンサーですが、レンズがいくら大きくて明るいものでも
センサーが小さいとレンズの中央部分しか光を拾えません。
(これはこれでレンズの一番おいしい部分を使える利点でもあります)
逆にセンサーの方が大きい場合はケラレと言いますが四隅が黒くなります。

今回紹介したもので言うと。
スマートフォンは小さすぎるのでこの図にはありません。
コンパクトデジタルカメラはだいたい1インチ以下の大きさ。
一眼レフカメラとミラーレス一眼カメラは1インチ以上の大きさと言うイメージです。
フルサイズ以上の大きさも存在し映像でも近年巨大化が進んでいますがレンズの開発も
同時に行うため高価で時間もかかります。

フルサイズと言うのはフィルム時代の35㎜フィルムのサイズを言います。
レンズとセンサーの関係については画作りとも関係するので次回詳しく解説します。

最後に

本当はカメラを前置きにしてレンズや画角の話を書く予定でしたが長くなってしまったので
分ける事にしました。次はようやくレンズの話です。

次:2020年1月21日火曜日「模型映像制作概論-3 レンズとフレームレート」

4 件のコメント:

  1. カメラは本当に奥深いですよね。静止画と動画で、ハイアマチュア以上は全く違うものと思わないといけないですし。映像フォーマットなどなど全く別分野と感じます。


    中の人のお勧めで、今はEOS 80Dですが、次は絶対フルサイズ!と決めております。一眼レフレンズのプラットフォームは新規開発終了のオワコンとのことで、ミラーレスのRFレンズ対応のカメラを来年かそれくらいには導入かなと考えております。ファインダー部分はOLEDとかで表示するタイプもあるので、一眼レフとミラーレスの違いもぱっと見分かりにくいと思いますが、時代はミラーレスなのは揺るぎないと思います。あの機械的なプリズム部分を除去できるのはかなり機構的に有利ですし。

    なお、DesktopStationを発足する前に仕事で開発していた、画像検査装置や安全監視などの産業用のカメラはこれまた独特な発展をしてます。1年ほどかじりましたが、機械の目という視点で見ると、全て発想が違うので、これまた面白いところです。

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    1. Yaasanさん、こんばんは!

      確かにハイアマチュア以上の世界では映像フォーマットなど違いがありますが、フィルム時代と違い初心者だろうが子供だろうが誰でもスマホかパソコンがあれば編集できる利点がありますね!
      本当に良い時代になったと思います!

      そしてRF行きますか!レンズは資産と言われますので新しい規格を揃える場合は慎重に考えてください。
      RFはEFマウントアダプターもありますのでEFで揃えた方がフルサイズでも80Dでも使えますし良いかもしれません。
      ミラーレスの利点はフランジバックが浅いおかげで旧来のレンズがほとんど使える所ですからね。
      RFだと他社のミラーレスでも使えなくなってしまいますがEFなら他社ミラーレスにもマウントアダプターを介して使えます。

      産業用カメラもおもしろいですよね。
      実は嫁さんが実験用のカメラやレンズを知っていたので話を聞いてZeissやLeicaが現在を知れました。
      細胞や神経を見るなんてまったく別世界ですもんね。

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    2. 大丈夫です!EFレンズは2個(しかもキットレンズwww)しかありません。何のしがらみもございません。安心してRFレンズの沼に飛び込めます。・・・とはいえ、キットレンズで満足しているので、レンズを買う事は無さそうです。

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    3. 2個でも十分勿体ない!w
      キットレンズも結構役に立ちますよ!
      正直言うとミラーレス市場はSonyの1強時代です。
      絵作りが嫌いな人もいるので好みの問題ではありますがEFレンズにしておけばCanonがミラーレス撤退でレンズ屋になっても使いまわせます!

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