The Nameless City: 模型映像制作概論-1 映画史と映像フォーマット

2020年1月18日土曜日

模型映像制作概論-1 映画史と映像フォーマット

はじめに

2018年に一度私の動画撮影の内容について書いた事があるけど、あくまで制作の流れを書いただけ
だったので今回からもうちょっと突っ込んだ話を出来るだけ簡単に書いていきます。

ただ毎回書いていますが私は映像演出や編集は得意ですが撮影やライティングに関しては素人にちかく
謙遜しすぎるのも良くないのでハイアマチュアと言っておきます。

これは自分が勝手に思ってるだけですが、ネットで不特定多数に見られる場合に自分より専門的な
人が必ず何名か見ると思っているので半端な事を書いて誤解されるのを恐れています。
そして見知らぬ人の場合は必ず相手が最低限知っているだろうと言う前提で会話を始めます。
これは相手が自分より知識があり教えを乞う方が相手から会話を引き出しやすいと言うのもあります。
その時相手が知識がなく逆に教えを乞うて来る場合もありますし、そのままずるずると知ったかぶりを
続ける方もいらっしゃいます。
そういう場合はさすがに訂正させてもらいますが自分がそういう立場にも成り得ると常に思って
いるのも大切だと感じています。

結果として餅は餅屋で仕事の現場では私は演出に徹する事がほとんどです。
とは言え演出する人間の知識として最低限知っている必要があるものがあります。
それを模型に特化する形で回を分けてわかりやすく紹介していこうと思います。
間違いなどありましたら遠慮なくツイッターやブログにコメントをください。

注:引用元のない画像は123RFで購入した有料の著作権フリー画像です。

映画史

映画史なんて知る必要ない!?そんな事ありません。
なぜなら歴史を知れば、なぜこういう仕組みで、なぜこういう約束事があるのか?
など必然性を深く理解できるからです。詳しくはリンクをクリックしてWikipediaをご覧ください。

複数のカメラを並べて動きのある被写体を連続撮影したものが有名。
「The Horse in Motion」1878年




アニメーション化したのがこちら。

当時は連続して投影する技術はなかったのでまだ映像とは言えなかった。

「Roundhay Garden Scene」1888年

こちらはマイブリッジと違い撮影も映写も16レンズのカメラで行ったため世界初の映画撮影
映画映写機になったが当時特許争いもあり謎の死を遂げてしまった。

他にもたくさんの映像史に残る偉人がいる。
特に重要なのが1893年エジソンや1895年リュミエール兄弟が現代のカメラや映写機の
元になるシステムを開発した。

静止画の連続(フレーム)

この連続した静止画/フレームを順番に送り出す事で映像になり動き出す。
この原理は2020年現在のスマホ時代になっても変わっていない。
現代に生きる我々には普通の事のように思える事も歴史を知るといかに大変だったかわかる。
まず高速にシャッターを切る事が出来なかった、高速でシャッターを切ると言う事は明るさも必要だった。
この理由についてはまた次回。

静止画の連続はパラパラ漫画と同じ原理。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%9E%E3%83%B3%E3%82%AC

映画の登場

映像を撮影、映写する技術が確立されるといっきに映画が作られ始める。
世界初の映画は1902年ジョルジュ・メリエスの「月世界旅行」
16フレーム/秒、14分の映画で現在パブリックドメインなのでYoutubeなどで見れる。

さて16フレーム/秒、14分は全部で何フレームでしょうか?
14分x60秒=840秒、840秒x16フレーム=13440フレーム。
フレームは日本ではコマともいわれる。

近代の映画は音声との都合で基本的に最低24フレームで描かれている。参考:トーキー
映画の発展とともに視野角を利用した3D上映などは倍の48フレーム。
ジェイムズ・キャメロン監督は最新映画で144フレームで撮影するが実際に片目に
入ってくる情報は毎秒24フレームを(交互に)3回で72フレーム、両目で144フレームになる。

テレビの登場

映画の誕生まではシンプルだけどテレビについて書くと恐ろしく膨大な資料になるので手短に。
技術的には1920年代機械式テレビの実験によって電波で飛ばす事ができるようになった。
この方式が世界大戦などを経て規格が世界でごちゃごちゃになり現代にもズルズルと続いている。

細かい話は端折るけど、昔ブラウン管テレビが主流だった頃までは世界では大きく3つの方式があった。
NTSC(29.97フレーム)=アメリカが中心の規格で中南米とアジア圏
PAL(25フレーム)=西ドイツを中心に西ヨーロッパ
SECAM(25フレーム)=フランスを中心にロシア・東ヨーロッパ

フレーム数は基本的に映画の24フレームを基準にしていた。
しかし時代が進むと人間は思った以上に動体視力が良く、さらに細かいフレームを追える。
しかも視野角はテレビも映画と近くしよう、どうせなら人間工学に合わせよう。

HDTVの登場

ハイ・ディフィニション・テレビジョンなんてダサい名前誰がつけたんだ?そう日本です。
日本はHDTVでは最先端を行っていました。
ソニーとNHKという世界でも(今でも)非常に強力な技術者集団がいるので本格的にデジタル時代が
到来する前に衛星放送を使ってHDTVを実現してしまいました。
最初はアナログハイビジョン、次にそれをベースにデジタル化したMUSE。

私も映像業界の端くれだったので社会人になるやいなやいきなりMUSEデコーダ搭載のテレビを買いました。
ハイビジョン放送と言うやつです。

MUSE
アスペクト比 : 16:9
総走査線 : 1125本/ 有効1035本
フィールド周波数 : 60.00Hz(60フレーム/秒)

日本は世界に先立って初めて商用で現在一般化しているHDTVを実用化しました。
16:9の視野角に60フレームで動く1125本の走査線。
残念ながら世界のデジタル規格化する際に既存のフォーマットとの相性が悪く
MUSEは採用されませんでした。

しかし日本のHDTVが基本となり欧州などの規格と合わさって現在のデジタルHDTV規格が出来ました。

デジタルハイビジョン
アスペクト比 : 16:9
総走査線 :1080本(1920 x 1080ピクセル)
フィールド周波数 : 59.94Hz(59.94フレーム/秒)

これが現在の世界標準です。
余談ですが日本のデジタル地上波ではデータ量を減らす為1440x1080ピクセルにして480ピクセル捨て
横に少し伸ばして放送しています。

映像フォーマット

ここで近代におけるコンピューター上で処理する際の映像フォーマットについて。

昔はアナログ放送だったので正確にはピクセル単位での縦横比が違っていたのでもっと複雑だった。
例えば720 x 480だと実は4:3にならない。正方形ピクセルなら720 x 540が正解。
しかし480なのは1ピクセルが縦長で出力されるからでした。
これもアナログ時代の電波との関係性など細かい話がたくさんあって理解し難いので割愛。

デジタル時代の今は何も考える必要がない、1920 x 1080 59.94フレーム(60フレーム)で撮影編集
しておけば様々なプラットホームで再生する事ができる。

ただし1920 x 1080ピクセルと言う細かさは良いとしても59.94フレーム(60フレーム)は
必ずしも必要とは限らない。
人間が限界まで認識できるフレーム数を表示すればきれいかと言うと別問題です。

最新のゲームでは144フレームから240フレームで表示できるものもあるけど、これは
プロゲーマーの視力がアスリート同様半端なく追従できるからです。
普通の人が見たら頭がクラクラしたり酔ったりするかもしれない。
映画と同じ24フレームや省略して29.97フレーム(30フレーム)にした方が人にやさしい演出もある。

また最近のカメラはハイフレームレート対応のものも多く毎秒120フレームなどで撮っておいて
あとで30フレームや60フレームで再生する事でスローモーション効果を狙う事もできる。
これも現代のありがたい技術のおかげで演出の幅が広がりました。

取り急ぎ「映画史と映像フォーマット」についてはここまで、4kなどは後で説明します。
次はいよいよ実践的なレンズや画角について書きます。

次:模型映像制作概論-2 カメラ






4 件のコメント:

  1. 素人なので難しいことはわかりません。という認識で読みましたが、何となくわかった気がしました。
    スマホやカメラなど最近の機器は素人でも簡単にそれなりのことが出来るよう、最適化された設定になっているんですね。
    その最適化というのが何なのかを知らないと動画の編集なんかをする際に壁にぶつかってしまう、さらに高度な編集に挑戦すると前に進めなくなるんだなぁと思いました。
    勉強しなきゃ。笑

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    1. Gutさん、おはようございます!

      小難しい話を読んで頂きありがとうございます!
      これでも出来るだけわかりやすく書きましたが興味がないとほんとつまらない話だと思います。

      私は映像オタクなのでいくらでも書きたい事を書けてしまいますが、しっかり理解できるように説明しようとすると全然違う脳味噌を使うので四苦八苦しております。
      次はさらにカメラやレンズについてなので時間をかけてゆっくり書いてます。
      丸一日かかりそうです(笑)

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  2. MUSEデコーダ懐かしいです。

    ハイデフニッションもですがデジタルバーサタイルディスクも普通の人には解らんしカッコ悪い名前ですよね。

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    1. LOCKEさん、こんばんは!

      デジタル・ビデオ・ディスクの方が100倍マシですよね!
      考えて見たらレーザーディスクも微妙ですね・・・。

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